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「所得はもっと減っていた」…アベノミクス統計操作の論議が拡散

登録:2019-01-31 21:51 修正:2019-02-01 08:47
野党、実質賃金は昨年0.53%減少と主張 
日本政府、標本のすり替えで統計“操作”疑惑 
安倍、謝りながらも「所得環境が改善されているという認識は変わらない」
安倍首相=資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本の安倍晋三政権が「アベノミクス」の成果を強調するために事実上統計を操作したという論議が拡散している。

 立憲民主党など日本の野党は30日の国会公聴会で、政府の経済統計を批判した書籍『アベノミクスによろしく』を書いた明石順平弁護士とともに調べた結果、昨年1~11月の実質賃金上昇率は-0.53%になったと明らかにした。厚生労働省は同じ期間の実質賃金上昇率は-0.05%と発表していたが、野党の推算では下落率がその10倍にのぼる。

 野党が提起する疑惑の核心は、政府が相対的に賃金条件の良い大規模企業の比重を高めて調査したということだ。厚生労働省は、以前は3万3000余りの事業場を対象に調査し、30~499人規模の中小企業は2~3年毎に調査対象全体を変えて統計を出していた。ところが、昨年調査対象を変える時は半分だけを変え、その過程で規模の大きな企業の比重が高くなったということだ。野党が2017年の調査対象企業を対象に、昨年の実質賃金上昇率を確かめたところ、政府発表よりさらに大幅に下落していたことが明らかになったと発表した。

 厚生労働省の統計では、昨年実質賃金が上がった月は5カ月あるが、野党の推算では6月の1カ月だけ実質賃金が上がっていた。野党議員が公聴会で厚生労働省の職員に対し、明石弁護士の計算が合っているかと尋ねると、「似た数値が出てくると予想する」と答えた。

 野党は、政府がアベノミクスの弱点を隠すために意識的にそうしたと見ている。日本政府は74カ月に及ぶ戦後最長の景気拡張を成果として前面に掲げているが、アベノミクスに対する宣伝が続く渦中でも労働者の実質賃金は停滞していた。

 失業率が2.4%で、25年ぶりの最低値を記録し、求人難を訴える企業が続出しているというニュースの中でも、賃金が上がっていない状況は日本政府を困惑させている。これは、失業率は低くなったとしても、質の良い正規職の働き口ではなく非正規職の働き口が増えたためと見られる。長期不況を経て、労組の交渉力が弱まったという見解もある。このような状況で、企業は利潤の配分に消極的だ。安倍首相は、不良統計論議で30・31日に2日連続で国会で謝罪した。その一方で「雇用と所得環境が着実に改善されているという判断には変わりがない」と述べた。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/880786.html韓国語原文入力:2019-01-31 21:06
訳J.S

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