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キム・ヨン世界銀行総裁が電撃辞任…トランプのため?

登録:2019-01-08 22:00 修正:2019-01-09 07:29
「2月1日退陣…開発途上国のインフラ民間企業に合流」 
任期3年残し7日午前の理事会で“サプライズ発表” 
中国融資・気候変化などでトランプ政府と意見の相違 
米国マスコミ「後任選定に米国と他の加盟国間の論争を予想」
キム・ヨン世界銀行総裁//ハンギョレ新聞社

 2012年アジア系で初めて世界銀行の首長に上がったキム・ヨン総裁(59・英語名Jim Yong Kim)が来月1日に辞任すると7日(現地時間)、明らかにした。2回目の5年任期(2017年7月~2022年6月)を3年以上残して電撃的に辞任することなので、その背景をめぐって解釈が入り乱れている。

 キム総裁はこの日、ツイッターアカウントに文を載せて「2月1日、世界銀行総裁を辞任する」とし、「偉大な機関の献身的な職員を導いて、貧困のない世の中にさらに近づけることは、想像できる最も大きな特権だった」と明らかにした。

 彼は職員に送ったEメールで「開発途上国のインフラ投資に焦点を合わせた民間企業に合流する」とし、「民間部門に参加する機会は予想できなかったことだが、これが気候変化のようなグローバル重要イシューと新興市場のインフラ不足に最も大きな影響を及ぼしうるところだと結論を出した」と話した。世界銀行は声明で、来月1日からクリスタリナ・ゲオルギエバ世界銀行最高経営責任者(CEO)が臨時に総裁の役割を受け持つと明らかにした。

 韓国系米国人のキム総裁は、世界保健機構(WHO)エイズ局長を務めた保健専門家で、2009年に米アイビーリーグ大学の一つであるダートマス大学総長になった。彼は、バラク・オバマ米大統領時期の2012年、アジア系として最初に世界銀行総裁に上がり、2016年9月に再任に成功し、2017年7月1日から2回目の5年任期を始めた。世界銀行は、1945年に設立された後、キム総裁以前まではすべて米国人が総裁を受け持ってきた。

 キム総裁はこの日午前に開かれた理事会で、電撃的に辞任の意思を明らかにし、具体的な理由は説明しなかったという。これまで任期途中で退いた総裁はいたが、キム総裁のような“サプライズ発表”は例がないという。このため、キム総裁の辞任発表が世界銀行の最大株主として強大な影響力を行使するドナルド・トランプ米行政府との不和のためではないかという観測が出ている。キム総裁が辞任の意思を発表し、民間部門への参加を「予想できなかったこと」と明らかにした点もまた、これを裏付けている。

 英国のBBCは「キム総裁は、トランプ大統領との公開的衝突は避けたが、彼の政策アプローチは気候変化に対するトランプ大統領のアプローチ方法と時々合わなかった」と指摘した。同メディアは「米国の石炭産業を復活させるというトランプ大統領の約束と異なり、キム総裁下の世界銀行は石炭発電プロジェクトに対する支援を終わらせた」と付け加えた。ウォールストリートジャーナルは「米財務省は、世界銀行が中国に過度に多くの融資をしていると批判してきた」として、世界銀行と米財務省がたびたび敵対的だったと伝えた。だが一部では、米財務省が昨年4月に世界銀行の130億ドル増資を支援した点を見れば、キム総裁と米行政府の政策的摩擦が深刻な水準ではなかったという解釈も出ている。キム総裁が主導した世界銀行の構造調整に対する内部不満もあったという。

 世界的経済機構である世界銀行と国際通貨基金(IMF)は、それぞれ米国と欧州で総裁を引き受けるのが暗黙的合意であった。この伝統に例外だったキム総裁が辞任することで、後任が続けて非米国人になるのか、再び米国人に戻るのかに関心が集まっている。ウォールストリートジャーナルは「後任総裁の選定について、米国と他の加盟国間に論争が起きるだろう」と報道した。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/877417.html韓国語原文入力:2019-01-08 09:54数丁:2019-01-08 20:57
訳J.S

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