本文に移動

「朝米会談の阻止狙ったボルトン補佐官の『リビアモデル』言及にトランプ大統領激怒」

登録:2018-06-07 00:17 修正:2018-06-07 07:28
CNN「北朝鮮との対話妨害するため刺激的発言」 
「トランプ大統領、北朝鮮問題でボルトン氏の排除を指示」 
ボルトン氏、2003年に金正日総書記を「暴君的な独裁者」と非難 
ブッシュ政権、北朝鮮の反発により6カ国協議から排除 
4月29日、「フォックスニュース」とのインタビューで、北朝鮮核廃棄方式としてリビアモデルを主張するボルトン米国家安保補佐官//ハンギョレ新聞社

 ボルトン米ホワイトハウス国家安保補佐官の「リビアモデル」発言は、朝米首脳会談を座礁させるための試みだったことが分かった。また、ドナルド・トランプ大統領は、ボルトン補佐官のこの発言に激怒し、彼を北朝鮮問題から排除したと報道された。

 米国務省高官らは、ボルトン補佐官が北朝鮮との対話を意図的に妨害するため、報道番組とのインタビューで刺激的な発言をしたものと信じていると、CNNが6日に報道した。同放送は北朝鮮の激しい反発を招き、朝米首脳会談が座礁する危機を招いたボルトン補佐官の「リビアモデル」は、首脳会談を妨害するための計画的な試みだったと、国務省内の消息筋を引用して報じた。

 ボルトン補佐官は4月29日の「フォックスニュース」とのインタビューで、「(リビアは)北朝鮮と異なる」としながらも、「我々は2003~2004年のリビアモデルを念頭に置いている」と述べた。また、北朝鮮が先に核兵器など核関連施設と物質を完全に放棄することが「非核化の意味」だと強調し、北朝鮮が一日も早く米国オークリッジ基地に核弾頭と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を搬出することだけが解決策だと明らかにした。

 ボルトン補佐官が提示した「リビアモデル」に対し、北朝鮮はキム・ゲグァン外務第1副相の声明を通じて、朝米首脳会談を中止することもあり得ると反発した。また、マイク・ペンス副大統領がボルトン補佐官の発言を受け継ぎ、「北朝鮮が米国と合意しなければ、反乱で死亡したリビア指導者ムアンマル・カダフィ政権が打倒されたリビアモデルになるだろう」と警告したことを受け、北朝鮮のチェ・ソ二外務副相はペンス副大統領に「政治的に愚かな間抜け」だと激しい個人攻撃を浴びせた。北朝鮮のこのような反発と非難にトランプ大統領は5月24日、朝米首脳会談を取り消すという書簡を発表し、協議が座礁の危機に陥ったこともあった。

 CNNは、ボルトン補佐官が自身の発言が否定的な効果をもたらすことを知りながらも、朝米首脳会談が米国に肯定的な結果をもたらさないと信じたために、意図的に発言したと、国務省高官を引用して報道した。匿名を要求した国務省高官はボルトン補佐官が「進行中の会談の準備を大きなハンマーで叩いて会談の進行を飛ばしてしまうことを望んでいた」と話した。国務省高官らは、ボルトン補佐官のこの発言を明らかに状況を揺さぶるための意図的な試みだと受け止めたと話した。

 ある消息筋は「ボルトン補佐官の発言はトランプ大統領だけでなく、マイク・ポンペオ国務長官も激怒させており、二人はホワイトハウスでこの問題について話し合った」と伝えた。その結果「トランプ大統領がボルトン補佐官を朝米首脳会談の準備だけでなく、北朝鮮と関連する問題全般から『切った』」という。

 実際、ボルトン補佐官はその後、朝米首脳会談と関連した発言をしなかった。米国を訪問してポンペオ長官と会談した金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長兼統一戦線部長が1日、トランプ大統領に面会する際も陪席しなかった。ホワイトハウス安保補佐官が重要な安保問題を巡る大統領と外国関係者らの面会に参加しないのは、極めて異例だ。

 ボルトン補佐官は2003年にも北朝鮮を非難し、北朝鮮の反発で北朝鮮核問題の解決に向けた6カ国協議の米国代表団から外されたことがある。当時のブッシュ政権の国務省軍縮・国際安保担当次官だった彼は、ソウルで金正日(キム・ジョンイル)総書記を「暴君的な独裁者」と非難し、北朝鮮住民たちがその治下で苦しんでいるという内容の講演を行った。

 これに対し、北朝鮮はボルトン補佐官を「人間ごみ、血に飢えた吸血鬼」と非難した。また、「北東アジアの平和と安定を決定した協議の重要性と人間の尊厳を考慮すると、参加する資格がない」として、まもなく始まる6カ国協議で彼を排除すると宣言した。

 北朝鮮がボルトン補佐官を問題視し、6カ国協議の予備会談を空転させたことを受け、ブッシュ政権は結局、6カ国協議の米国代表に事実上内定されていた彼を排除する措置を下した。これを機に、ボルトン補佐官はブッシュ政権の外交・安保分野で影響力低下を余儀なくされた。

チョン・ウィギル先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/847883.html韓国語原文入力:2018-06-06 20:31
訳H.J

関連記事