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[インタビュー]「朝中首脳会談は中国が朝鮮半島問題に責任感を感じた結果」

登録:2018-05-16 05:49 修正:2018-05-16 06:59
鄭永年シンガポール国立大学東アジア研究所長インタビュー 
 
朝米首脳会談発表されてから責任感感じ 
「核技術の民需用への転換」線で合意する見通し 
北朝鮮の改革・開放は成功…権力集中と中・ベトナムの先例のお陰 
中国モデルなど「真の東アジア秩序」の構築進められるだろう
鄭永年シンガポール国立大学東アジア研究所長=キム・ウェヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 シンガポールの代表的な国際政治学者の鄭永年シンガポール国立大学東アジア研究所長(写真)は14日、ハンギョレとのインタビューで、「中国はこれまで朝鮮半島問題の“責任”を放棄してきた。また責任を先送りすれば、北朝鮮が『米国の尖兵』となり、中国を困らせる可能性もある。幸い、中国が責任を認識し始めた」と話した。鄭教授は中国浙江省出身で、北京大学を卒業したシンガポールの代表的な中国専門家だ。

 -6月12日、シンガポールで初めての朝米首脳会談が開かれる。非核化に向けた合意はどの線で行われると予想するか?

 「非核化に対する南北米中の定義がそれぞれ異なる。米国が望む『完全な放棄』は、北朝鮮が受け入れられないだろう。北朝鮮の核技術は認めるものの、軍事用から民需用に転換する方式が、結局みんなが受け入れられる水準の合意ではないかと思う。米国は北朝鮮の核保有自体よりも本土を攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術について懸念している」

 -北朝鮮の改革・開放の可能性に関心が集まっている。経済成長を土台に、ここ数年の間、権力の集中・強化を進めてきた中国モデルが北朝鮮に示唆するところが大きいのではないか?

 「もちろんだ。多くの開発途上国が注目するモデルでもある。北朝鮮が改革・開放を追求すれば、成功する可能性が高い。まず強力な中央集権体制は成長のための凝集力を提供するだろう。中国やベトナムなど、参考できる先例が多いこともメリットだ。これらの国は従うべきモデルがなく苦労したが、北朝鮮はそうではないだろう。必要なのは持続的発展を追求できる域内の平和と安定という環境だ。北朝鮮が発展する間、韓国も、米国も、日本も、中国も、脅威を加えないだろう。朝米首脳会談の歴史的意義はまさにここにある」

 -米国などが主張してきた「中国役割論」(北朝鮮核問題の解決のため中国がより積極的に乗り出すべきという主張)に対する意見は?

 「朝米首脳会談の前に、2度の朝中首脳会談が行われた。中国も(朝鮮半島問題に)責任を感じていることを意味する。とても重要な態度変化だ。これまで中国は朝鮮半島問題の責任を米国に押し付けようとしてきたが、今は『私の責任』だと言っている。このような態度は、朝米首脳会談が発表されてから現れた。北朝鮮が中国を犠牲にする方式で米国との交渉に臨んだり、米国が北朝鮮を通じて中国を扱おうとする場合は、中国が不利になる」

 -中国が焦っているという意味なのか?

 「米国は昨年末発表した国家安保戦略で、ロシアと中国を米国の主敵と規定した。米国が中国より先に金正恩(キム・ジョンウン)委員長に会い、ミサイルは認められないが核保有は容認することを前提に、東(韓米日)への進出を手助けするのは、中国にとって最悪のシナリオだっただろう。北朝鮮が中国に対する米国の橋頭堡になる悪夢のような状況だ。中国としては死活をかけるべきだっただろう」

 -北朝鮮も対中関係を強化する必要があったのでは?

 「もちろん、両者ともに必要だったはずだ。中国がいなければ、核問題の究極的な解決が難しいという点も作用しただろう。北朝鮮の米国に対する不信は根深い。昨年にも米国の『斬首作戦』が取りざたされた。米国は朝米会談を控え、イラン核協定からの脱退を宣言した。バラク・オバマ政権時代に行われたキューバとの国交正常化も見通しが不透明になっている。北朝鮮が米国を信じられないのも当然だ。半世紀以上の対立を経て、このように信頼度が下がった状態であるだけに、金正恩委員長も中国と事前接触を通じて、金委員長自身や家族、体制などの安全について、中国の保障を求めただろう。また、シンガポールに来ることに関しても、金委員長は本人の安全に対する確信が必要だったはずだ。その部分についても協議が行われたものと見ている」

シンガポール/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/844695.html韓国語原文入力:2018-05-15 22:28
訳H.J

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