「(デモに出た女性国会議員らは)セクハラとは縁遠い方々です。私は皆さんに、絶対にセクハラ致しませんことを、宣言します!」
今月20日、自民党の長尾たかし衆院議員は野党の女性議員が財務省事務次官のセクハラ事件に抗議するデモを行った写真をツイッターに掲載し、このように皮肉る文章を書いた。長尾議員は、非難世論の高まりを受け、ブログに「お詫びする」と明らかにした。問題となったセクハラ事件は、福田淳一前財務省事務次官が、女性記者に「胸触っていい?」などの発言をしたと週刊誌に報じられた事件だ。福田前次官は、週刊誌が録音内容を公開した後、17日に辞任した。彼は今もそのような発言をしたことがないと否定している。
長尾議員の今回の発言は、自民党議員らのなかでセクハラを軽く考えている人が多いことを示している。福田前次官のセクハラ事件と、それに続く長尾議員の発言によって、すでに私学スキャンダルで落ち込んでいる安倍内閣の支持率がさらに一段階下がった。
毎日新聞は21日と22日に18歳以上の有権者568人を対象に行った調査で、内閣支持率が30%にとどまり、「総辞職の危険水域」と呼ばれる20%台への進入を目前に控えていると、23日付で報道した。
内閣支持率の急落が始まったのは、先月2日、朝日新聞の報道で財務省が森友学園への国有地の安価売却疑惑と関連し、国会に提出した公文書を偽造した事実が判明してからだ。以降、しばらく40~50%台を維持していた内閣の支持率は下落を続けている。
このような事態に油を注いだのは、麻生太郎財務相兼副首相だ。彼は、自分の管理下にある福田前次官のセクハラ事件について「被害者が名乗り出て調査に応じるべき」という対応を貫き、世論の非難を浴びた。安倍政権を支える柱である麻生副首相の辞任を求める声も高まっている。毎日新聞の調査で、麻生副首相が辞任すべきという意見は51%に達する。
安倍首相が起死回生のために取り出したカードは、日米首脳会談だった。18・19日、ドナルド・トランプ大統領と首脳会談を行ったが、期待通りの成果を上げられなかった。トランプ大統領は日本の鉄鋼・アルミを高率関税賦課対象から除外しなかっただけではなく、日本が望んでいる環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)への復帰についても言及しなかった。
読売新聞は、安倍首相が周辺に「4月になれば、局面が変わる」と言っていたが、セクハラ事件の影響などで期待が実現されなかったと伝えた。同紙が20~22日に行った世論調査の結果、内閣非支持率は53%で、2012年12月の第2次安倍内閣発足以来、最高値を記録した。