29日、日本の北海道南部松前町で、古い木造船1隻が海で漂流していた。日本海上保安庁の巡視船が船に近づくと、船員が「北朝鮮から来た。天気が悪くて無人島に一時避難した。燃料はあるが、食糧が底をついた。食糧をもらえないか」と話した。30日にも日本の西部石川県沖でも21人が乗った北朝鮮漁船2隻が漂流して救助された。
東海(日本海)に接した日本の海岸地域で、北朝鮮船舶が確認されたり、北朝鮮船舶と推定される古い舟が漂流して発見されたり海辺に打ち上げられた事例が、11月だけで少なくとも27件に達する。11月7日には新潟県の佐渡でハングルが書かれた木造船が発見されており、25日には、同じ海岸で男性の遺体1体が発見された。24日には秋田県の海水浴場で発見された木船甲板では20~50代の男性と推定される遺体8体が出た。一部は白骨化が進んでおり、死亡してから数カ月は経過したものと推定された。船からは北朝鮮の金と漁具が発見された。この他にも青森県や山形県、石川県で北朝鮮船舶と見られる木船が発見されている。
北朝鮮の船舶が日本で相次いで発見される理由は、古い船で無理に操業しているうちに漂流したためと見られる。23日秋田県由利本荘市では、北朝鮮船員8人が上陸した。海上保安庁調査で、彼らは「イカを捕るために1カ月半前に出航した。船が故障して漂流した」と話した。船にハングルで「チョンジン」と書かれており、日本当局はこの船が清津(チョンジン)港から出港したものと見ている。
日本当局は北朝鮮の船舶が公海上の大和堆漁場に進出し、古い船で魚を捕ろうとして遭難される場合が多いと見ている。大和堆は東海でも指折りの黄金漁場で、特にイカが多いことで有名だ。ある海上保安庁幹部は大和堆付近は冬に波が高く危険だという点を挙げ、「10月末に高波で遭難した漁船が1カ月後日本まで流れてきたのではないか」と話したと朝日新聞が報じた。今年、日本で北朝鮮の船が発見された件数は10月までは毎月2~5件程度だったが、11月から突然増えた。年度別には2013年に80件、2014年に65件、2015年に45件、昨年に66件、今年も11月まで約50件だった。
日本のマスコミは、北朝鮮漁船が無理に操業する背景には、北朝鮮が最近、漁業を主要国策事業として推進し、漁獲量の増大の圧力を加えている状況があると分析している。特に、北朝鮮が沿岸漁業権を中国に渡し、代わりに日本の近くの沖合で操業しているのも原因に挙げられている。国家情報院は昨年7月、北朝鮮が約1500隻が操業できる海域の沿岸漁業権を中国に渡し、年間3000万ドルを受け取ったと明らかにした。
日本国内では相次いで発見される北朝鮮の船を向けて冷ややかな視線を送っている。「工作船ではないか」、「伝染病感染の憂慮がある」とも言われている。自民党の青山繁晴議員は30日、国会で「北朝鮮の船からの上陸者には天然痘ウイルス感染者がいる可能性もある。この恐怖はミサイルに比べ物にならない」と主張した。