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[ニュース分析]ワームビア氏死亡で米国世論が悪化

登録:2017-06-21 04:03 修正:2017-06-21 07:10
朝米関係の短期的な冷え込みは避けられない 
北朝鮮旅行禁止・対北朝鮮制裁処置の可能性も 
トランプ政権の動きによって影響変わることも
北朝鮮に抑留され、昏睡状態で送還されてから6日後に死亡した米国の大学生オットー・ワームビア氏の父親フレッド氏が今月15日、シンシナティのワイオミング州高校で記者会見を開いている=シンシナティ/AP聯合ニュース

 北朝鮮に17カ月間抑留され、昏睡状態で帰国した米国の大学生オットー・ワームビア氏(22)が6日後の19日(現地時間)に死亡し、米朝間に微かに芽生えた探索的対話を試みようとする雰囲気も、短期的には委縮せざるを得ないもの見られる。

 まず、米国内の対北朝鮮世論は急激に悪化している。ドナルド・トランプ大統領は同日、声明を発表し、「野蛮性」という言葉まで使って北朝鮮体制を非難した。最近のトランプ大統領の北朝鮮関連発言としては、かなり激しいものだ。この前までトランプ大統領は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長について「若くして権力を握った。彼はかなり利口な人」とし、(彼を)理解するような態度を示した。

 米国社会の雰囲気もかなり激化している。共和党のジョン・マケイン上院議員は「ワームビア氏が北朝鮮の金正恩体制によって殺害された」とし、「米国は敵対する国家による市民の殺害を容認できないだけではなく、容認してはならない」と話した。CNN放送は「私たちは帰ってきた彼の声を聞くことさえできなかった。とても悲しいニュース」だと報じた。

 北朝鮮問題に詳しいとされる専門家らの間でも非難の声があがっているのは、かなり悪い兆しと言える。北朝鮮を数回訪問したビル・リチャードソン元ニューメキシコ州知事は「悲しみと憤りを覚える」としたうえで、「北朝鮮はワームビア氏に何があったのか、国際社会に明らかにすべきだ」と要求した。

ドナルド・トランプ米大統領が今月19日、ホワイトハウスで開かれた米国の技術委員会会議で、北朝鮮に抑留され、昏睡状態で米国に送還されてから6日後に死亡したワームビア氏について発言している=ワシントン/UPI聯合ニュース

 米国社会の対北朝鮮世論が悪化し、トランプ政権としても、北朝鮮に対する一定の対応をせざるを得ないものと見られる。これと関連し、ワシントンポスト紙は米議会やトランプ政権が米国人の北朝鮮旅行を禁止・制限する可能性があると見通した。トランプ大統領も同日に発表した声明で、「ワームビア氏の不幸な運命は、無実な人々を対象に、法規範と基本的人間の品位を尊重しない政権によって行われたこのような悲劇を予防しようとする私たち(米国)政府の決心をより一層堅くさせる」とし、旅行禁止措置の可能性を示唆した。民主党のアダム・シープ下院議員と共和党のジョー・ウィルソン下院議員は、すでに北朝鮮旅行の統制法を提案した。

 対北朝鮮制裁や圧力を要求する声も高まると予想される。フィナンシャル・タイムズは「米国の対北朝鮮政策が非常に敏感な時期に、特に21日、ワシントンで開かれる米中外交安保対話を2日後に控えて、ワームビア氏が死亡した」とし、対北朝鮮制裁が最優先課題として取り上げられるという見通しを示した。

 今後米朝関係に及ぼす影響と関連し、韓国外交部当局者は「悪材料の中の悪材料」だとしたうえで、「トランプ大統領が『北朝鮮体制の野蛮性』と言及しており、レックス・ティラーソン国務長官が責任を究明しなければならないと発言したのは、良くないシグナル」だと分析した。

 北朝鮮が抑留中の米国人3人を釈放すれば、朝米関係の転換のきっかけになるかもしれないが、その可能性は低いとみられる。ある消息筋は「北朝鮮は米国人抑留を(彼らが犯した)現実的犯罪のためだと見ている」とし、「短期間で釈放される可能性はほとんどない」と予想した。

 ただし、トランプ政権の今後の動きによって、事件の影響が異なるだろうという見方もある。仁済大学のキム・ヨンチョル教授は「今回のように偶発的事件は結局、米国の対北朝鮮政策の基調によって位置や役割、評価が変わる」とし、「政策方向によっては全く異なる結果をもたらすのもこのためだ」と指摘した。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、チョン・イナン、キム・ジウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/799521.html 韓国語原文入力:2017-06-20 21:50
訳H.J(1928字)

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