北朝鮮に17カ月間抑留されていた米国の大学生オットー・ワームビア氏(22)の釈放に向けて、米国と北朝鮮当局が先月から水面下で秘密裏に動いていたことが明らかになった。
米朝当局間の接触は先月8~9日、ノルウェーのオスロで行われた半官半民の1.5トラック対話に遡る。当時、北朝鮮からはチェ・ソンヒ外務省米国局長だけが出席したことが確認されており、米国からはワシントン所在のシンクタンクである「ニューアメリカ財団」のスーザン・ディマジオ局長とロバート・アインホーン元国務省不拡散・軍縮担当特別補佐官など、民間専門家だけが出席したとされた。
しかし、6カ国協議の首席代表であるジョセフ・ユン北朝鮮政策特別代表(国務東アジア太平洋副次官補)も1.5トラックに参加した事実が新たに確認された。北朝鮮からも国連北朝鮮代表部のパク・ソンイル米国担当大使が合流したという。トランプ政権初の米朝間の「探索的当局対話」がオスロで行われたのだ。
これと関連してワシントンポスト紙は、ユン代表と北側関係者らがオスロでワームビア氏など北朝鮮に抑留中の米国人4人に対するスウェーデン領事の訪問を許可することで合意したと報じた。しかし、スウェーデン領事館側は1人にしか接見できず、接見したのもワームビア氏ではなかったことが分かった。
米国政府が4人全員に対する接見を要求したことを受け、パク・ソンイル大使の緊急要請で、今月6日、ニューヨークでジョセフ・ユン代表との面談が行われた。この場で、北朝鮮側はワームビア氏が昏睡状態にあると説明した。
ユン代表はレックス・ティラーソン国務長官にこのような状況を報告しており、ティラーソン長官はドナルド・トランプ大統領とこの問題について協議した。トランプ大統領は、ユン代表にワームビア氏釈放のために訪朝を準備することやワームビア氏への接見を要求すること、ワームビア氏の健康状態が良くない場合、即時釈放を要求することを指示した。これにより、ユン代表は2人の医療陣と共に12日朝、平壌(ピョンヤン)に到着し、翌日ワームビア氏と共に米国に戻った。