来月4~5日、中国杭州で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議を控え、中国と日本が首脳会談の開催に向けた事前作業に乗り出した。
中国の李克強首相は25日午後、人民大会堂で中国を訪問した谷内正太郎・国家安全保障局長と面談した。李首相はこの場で「現在、日中関係は改善されつつある状況だが、依然としてかなり脆弱だ。再び正常な発展軌道に乗れるように推進・努力しなければならない」と述べたと、中国外交部が伝えた。朝日新聞は、李首相が「一日も早く中日関係を正常な軌道に復帰させる必要がある」と述べたと報じた。ニュアンスの違いはあるが、どちらも李首相が両国の関係正常化に対する意欲を強調したものと言える。谷内局長は「互恵で安定的な日中関係の構築を望む」との内容が盛り込まれた安倍晋三首相の親書を手渡した。
谷内局長は、安倍首相の「外交策士」と呼ばれる人物で、中国や韓国と厳しく対立した安倍政権の外交が転換点を迎える度に前面に登場してきた。彼は2014年にも中国の北京で開かれたアジア太平洋経済協力体(APEC)会議の開幕を4日後に控えた時点で直接中国を訪問し、習近平・国家主席と安倍首相との初めての首脳会談を実現させた。谷内局長は、今回も中国の外交政策を総括する楊潔チ国務委員とG20サミットでの日中首脳会談など主要懸案について意見を交わした。
G20サミットをはじめとする下半期の外交日程を控え中国と日本が接近する姿は、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備の発表以降、対話チャンネルが十分に作動していない韓中関係とは対照的だ。
王毅・外交部長が24日、「交渉を通じた解決策の模索」に言及したことと関連し、陸慷・中国外交部報道官は25日、定例記者会見で「韓国政府が米国のTHAADの(朝鮮)半島への配備決定に同意して以来、中国は外交的に様々なレベルで韓国との接触を維持し、交渉を提案した」としながらも、「交渉過程は現在、始まっていない」と明らかにした。
韓中の「THAAD交渉」がなかなか実現しないのは、基本的に「自衛的手段」を強調する韓国と「配備の撤回」を要求する中国との間で、接点を見出すのが難しいからだ。米国を排除して韓国だけと在韓米軍のTHAAD配備問題について交渉するという中国の主張も(THAAD交渉の)障害となっている。しかし、中国からは対話に向けた韓国政府の努力不足を指摘する声もあがっている。中国社会科学院の王俊生・研究員は「韓国はTHAAD配備決定の発表前にも後にも、中国と適切な疎通をしようとしなかった」と指摘した。
G20杭州サミットの開催を控えた中国が日本と接近するのは、開催成功のための主催国としての「危機管理」に過ぎないとの見方もある。2014年のAPEC会議でも習主席と安倍首相が会談を行ったが、それによって日中対立が電撃的に解消の局面に入ったわけではなったからだ。中国が表面的には国際会議の開催を控え、情勢の安定を強調しているが、内部的には強硬対応に向けた論議を進めているとする見方もある。米外交協会(CFR)のスコット・スナイダー上席研究員は「 ヴォイス・オブ・アメリカ」(VOA)放送のインタビューで「(THAAD配備を決めた後)中国軍部も米国との衝突の際に必要な潜在的対応策を準備する過程で、在韓・在日米軍基地を攻撃するかどうかについて選択を迫られているだろう」と話した。
北京/キム・ウェヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力: 2016-08-26 16:54