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[ニュース分析]THAAD配備に対する中国の「相応の措置」とは

登録:2016-07-12 00:05 修正:2016-07-12 08:34
THAAD配備をめぐり深まる韓中の葛藤//ハンギョレ新聞社

 韓米が合意した地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD<サード>)の韓国配備と関連し、中国国防部が8日、「必要な処置を考慮する」と明らかにしたのに続き、11日には外交部が「相応の措置」に言及し、その具体的な内容がどのような形のものになるのか注目されている。

 まず、中国が有事の際、THAADを無力化できるように軍事的措置を取る可能性が最も憂慮される側面だ。中国の人民網は8日、軍事専門家の発言を引用し「中国は必ず確かな戦略的処置を取らなければならない。例えば、韓国内のTHAADに対応する軍事的対応策を増加させ、もし戦争が勃発すれば最初に攻撃する」と明らかにしている。この場合、韓国の安保不安が高まるのは自明の事実だ。昨年末初めて、両国長官間の直通電話(ホットライン)が開設されるなど、実を結んだ軍事交流も中断される可能性がある。

 財界を中心に実質的な被害が最も憂慮されるのは、経済的な報復処置の可能性だ。韓国産商品に対し通関や衛生検査など、非関税障壁を強化することや、官営メディアなどを活用し、不買運動を繰り広げるなど、合法的な規定の適用か民間領域での規制が進められる可能性が高い。特に、中国に進出した2万3千社(2013年基準)の国内企業が取り締まりの標的になることもあり得る。中国の電気自動車市場が、世界最大規模として浮上した中、中国の江淮汽車(JAC, Jianghuai Automobile Corporation)がサムスンSDIのバッテリーを搭載した電気自動車の生産を中止したという報道が11日出たのも目を引く。 サムスンSDIとLG化学が先月発表された補助金交付企業に指定されなかったことによるものだが、THAAD配備の発表直後、中国の強硬対応の基調とあいまって起きたものと見られている。サムスンSDIはTHAAD配備の決定と関連付けられることをかなり警戒している。サムスンSDIの関係者は「中国政府が順次、外国の部品に模範基準認証を与えている。環境に有害な物質の排出防止に向けた努力などを評価する条項があるが、生産履歴が1年以上でなければならないという条件がついている。中国工場が昨年10月の稼動を始めたため、まだ1年が経過していない」として「追加認証の申請を準備している」と明らかにした。

 これと共に、中国とロシアの協力など、外交的手段がある。先月末、中国の習近平国家主席とプーチン・ロシア大統領は3日間で2回にわたり行った首脳会談で、「朝鮮半島へのTHAAD配備反対」の内容を盛り込んだ共同声明を2回連続で発表した。北朝鮮の4回目の核実験後、「対北朝鮮圧迫」と「北朝鮮核問題への国際的な協力」にすべてをかけている韓国外交は、中国とロシアという重要な二つの軸を同時に失う危機に直面した。

 これら以外にも、中国が韓国との人的・文化的交流の縮小に乗り出す懸念もある。2年前に民主化デモが起きた香港と今年民進党政権が発足した台湾に、それぞれ中国人観光客が減少したこともあり、中国当局が政治・外交的目的で観光客の数を制限していものと見られてきた。

北京/キム・ウェヒョン特派員、キム・ジェソプ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-07-11 21:18

https://www.hani.co.kr/arti/international/china/751897.html 訳H.J

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