オランダ、ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)が12日(現地時間)に下すことになる南シナ海関連判決を控え、中国が近隣海域での軍事訓練実施に続き、「実効支配」を強調する措置に突入した。裁判自体に対しては効力がないとの立場を繰り返している。
中国官営の環球時報は11日、中国が南シナ海のスプラトリー諸島(中国名、南沙諸島)の4つの人工島で灯台の稼動を開始したと報道した。中国の交通運輸部は昨年5月からこの一帯の5カ所に灯台を作ってきたが、ミスチーフ環礁(美済礁)の灯台も完工次第、その稼動日程を公示すると明らかにした。中国の許如清・海事局長は「これらの灯台は南シナ海の重要な公益施設であり、中国の国際的責任と義務を果たすために設置された」と述べた。
中国政府のこのような措置は、中国がこの間強調してきた「実効的支配」と「海上安全などに対する寄与」を強調する一環と見る向きが多い。中国はこの他にもパラセル諸島(中国名、西沙諸島)など4カ所にも灯台を設置しており、ウッディー島(永興島)など4カ所には船舶自動識別システム(AIS)の基地局を設置している。
中国は12日午前11時(現地時間)に予定された常設仲裁裁判所の判決は認めない立場を繰り返している。王毅外交部長は今月8日、スリランカのコロンボでスリランカのマンガラ・サマラウィーラ外交長官に会い、「フィリピンが一方的に提起した南シナ海仲裁訴訟について、受け入れも参加もせず、仲裁結果も認めず履行することもない」と述べたと中国外交部が11日発表した。
2012年4月に中国が占拠したスカボロ暗礁と関連して、この裁判所が下すことになる争点は15点からなり、中国が南シナ海で領有権を主張する根拠である「九段線」の法的妥当性と中国が建設した人工島の法的地位に対する判断が核心だ。
中国は裁判所の構成に対しても問題を提起し、判決の妥当性に疑問を示している。中国外交部の劉振民副部長は最近、党の理論誌「チウス(求是)」への寄稿文で「法廷が普遍的代表性を備えているとは見難い」として「中国領海の歴史的意味を正確に理解できないのみならず、中国の合法的権益に偏見を持っていて、客観的で公正な判決を下すことはできないだろう」と主張した。彼が「偏見」という用語を使ったのは、中国が「反中国指向の日本右翼人物」と見る、かつて駐米大使を務めた柳井俊二氏が国際海洋法裁判所(ITLOS)の所長として在任した時期にフィリピン政府が訴訟を提起し、中国にとって不利にならざるをえない裁判所が構成されたという趣旨からだ。
常設裁判所にも判決を強制する手段はないのが実状だ。ただし、どのような判決が出されても、米国と中国を含む関連国間の軋轢は深まるしかない。中国は最近、南シナ海一帯で官営メディアが自ら「歴代最大規模の訓練」と評価した軍事訓練を実施し、判決を控えて武力示威を行っているという批判も受けている。