東大門のUFO建築
世界的建築家ザハ・ハディド
象を連想させる競技場に日本国内で批判殺到
オリンピックの主競技場として建築史上最多の建築費がかかると見られる2020年東京オリンピック主競技場に対する論議が収まる気配がないと『ニューヨーク タイムズ』が4日報道した。
イラク出身の世界的建築家ザハ・ハディドが設計した東京オリンピック主競技場は、8万人を収容できる規模で13億7000万ドルを投じて2019年に完工する予定だが、日本国内では建物のデザインが亀とか象のようで滑稽だという批判が絶えない。 ザハ・ハディッドは女性として初めて建築界のアカデミー賞と言われるプリツカー建築賞を受賞し、ソウル東大門(トンデムン)のデザインプラザを設計した経歴もある。
ハディドは2012年ロンドンオリンピック主競技場と2022年カタールワールドカップ主競技場の設計をするなど大型建築プロジェクト設計を相次いでこなしている。 ハディドの東京オリンピック主競技場設計案は、2012年にコンペ(設計公募展)で当選し、当時の審査委員の中には日本の建築家 安藤忠雄氏も参加していた。
また別のプリツカー建築賞受賞者である日本の槇文彦氏は「なぜ私たちに白色象が必要なのか」として「東京は動物園ではない」と話したとニューヨーク タイムズは伝えた。 槇氏は昨年10月、東京オリンピック主競技場の大きさとデザインについて反対して、他の同僚建築家とともにこの問題に対するシンポジウムを開催した。 昨年7月には500人が東京オリンピック主競技場の設計に反対するデモを行った。 東京オリンピック主競技場が明治神宮庭園付近までのびていて、明治神宮の景観を害し交通停滞を誘発するという批判もある。
ハディドはこのような批判と予算問題のために当初の設計を変更した。ハディドの設計原案は建築費が25億ドルで、日本スポーツ振興センターが当初予算として策定した11億ドルを2倍以上超過する案だった。ハディドは設計を変更して、建築費を14億ドル程度に減らし、建築面積も原案の71%に減らした。
だがハディドの設計変更は最近になり別の批判を呼んだ。建築家の磯崎新はハディドの修正案が「当初のダイナミズムが失せた」として「まるで列島の水没を待つ亀のような鈍重な姿」と酷評した。 彼は「修正案ではハディッドの能力の片鱗も見られず、日本当局の圧力が感じられるだけ」と話した。
ニューヨーク タイムズは、日本でハディッドの設計案に対する解決策を巡って意見が分かれているとも伝えた。 磯崎のようにハディッドが原案を再び生かした再設計を行うべきと主張する人もいるが、反対にハディッドの設計自体を無効にしようという主張もあると伝えた。
ハディッドはこのような批判に対して、最近建築専門雑誌『dezeen』とのインタビューで「外国人が東京の競技場を設計することが嫌でそういうだけ」として「彼らが(コンペ)競争で負けたことが問題」と話した。
東京オリンピックの主競技場建設に途方もない建築費がかかるだけに、事後活用も悩みの種になる。 1976年のカナダ モントリオールオリンピックの主競技場は20億ドルの負債を残し、カナダ当局が借金返済に30年かかった。 日本政府は東京オリンピック主競技場をオリンピック後にはコンサート場等として活用する計画だが、磯崎氏はこのままでは東京オリンピック主競技場は“粗大ゴミ”になるだろうと批判した。 人口が減少する日本で、このような巨大建築物を活用することは容易でなく、維持するにも莫大な費用がかかるためだ。
日本が高度経済成長期である1964年に東京で開いたオリンピック当時に使用した主競技場は今月撤去される予定だ。 過去の主競技場をリサイクルしようという主張もあったが、日本政府はリサイクルの費用が更にかかるとし、このような主張を受け入れなかったと同紙は伝えた。