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[特派員コラム] 南北が導いて行かねばならない韓半島政策/パク・ヒョン

登録:2013-06-09 00:39 修正:2013-06-09 06:42
パク・ヒョン ワシントン特派員

 ほんの一ヵ月前でさえもワシントンの北韓専門家たちは、北韓核問題解決には韓国政府の役割が重要だと口をそろえていた。朴槿恵大統領に対する期待感も相当なものだった。朴大統領が2011年末に権威ある外交専門紙であるフォーリン・アフェアーズへの寄稿文で、以前の政府と異なる対北韓接近策を用いると強調したうえに、大統領選挙の過程で「信頼プロセス」を通じて段階的に南北間の信頼を築く作業に乗り出すと公約した点が、それなりの説得力を得たようだ。さらにジョン・ケリー米国国務長官が、対北韓政策で韓国が先に踏み石を置くことを望むという話までしたことで、朴大統領がどのように問題を解いていくかに関心が集っていた。

 しかし、韓米首脳会談が終わって1ヶ月、ワシントンでは韓国の役割論がばったり引っ込んでしまった。朴大統領は、南北関係を改善する実質的な案も出せなかったし、北韓が先に非核化と関連した誠意ある措置を取らなければならないという前提条件のみを叫ぶバラク・オバマ米国大統領を、説得することもできなかった。いや、説得しようとしたのかさえ疑問だ。かえって朴大統領の対北韓政策は、米国側の論理に急速に引き込まれる様相を呈した。

 朴大統領の外交政策の中心参謀である尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が、先月末の記者会見で表明した対北韓政策は、あたかもホワイトハウスや国務省スポークスマンから聞いているかのようだった。尹長官は、崔竜海(チェ・リョンヘ)北韓人民軍総政治局長が中国で対話用意を表明したことに関して、「我々としては、対話のための対話はしないという立場であり、北韓は非核化と関連した国際義務と約束を遵守することを行動で誠意をもって示すべきだ」と述べた。大統領選挙時の北韓との対話に前提条件はないという朴大統領の公約は、影も形もなくなったわけだ。

 ワシントンで朴大統領の存在感が急速に薄れる代わりに、中国の役割論はますます強まっている。7~8日(現地時間)、米国カリフォルニア州のリゾート地で開かれる米中首脳会談で、両首脳がいかなる対北韓政策で合意出来るかに、関心が集中している。一部では、中国が最近、北韓に対する経済制裁に参加するなど、過去とは異なる態度を見せているという点から、中国が米国の肩を持つのではないかという診断を下したりもしている。しかし、オバマ政権の「アジア再均衡政策」を中国包囲戦略として認識している中国指導部が、同盟国の北韓を簡単に捨てることはできないだろう。

 中国は今回の首脳会談で、米国と北韓を交渉テーブルに引き出すことに注力するものと見られる。中国は恐らく、米国側には対話を行うハードルを下げることを、北韓には非核化に関する誠意ある意志表明をすることを要請するだろう。 しかし、現在のワシントンの雰囲気を見る限り、現在の政策基調を変えることは容易でないように見える。何よりも1期目政権時の外交安保チームが健在なうえに、共和党の批判を押し切って対話に出る程、国内政治的基盤が強固でないためだ。新指導部の成立後に核保有の意志がさらに強まった北韓の政策基調を変えることも難しいだろう。多くの人々が中国に大きな期待をかけているが、その結果を大言壮語するのは難しいのが実情だ。

 結局、糸口は韓国が探さなければならない。韓国と北韓の間の対話と交流の出口を開き、非核化交渉に関する北韓と米国の硬直した態度を変える契機を作らなければならない。米国政府もすでに対北韓政策で、韓国が先に主導的に立ち向かうことを望むと明らかにしたことがある。そのためには、北韓に対する積極的な包容政策が必要だ。6日、北韓が開城(ケソン)工業団地正常化と金剛山観光再開のための南北当局間会談を提案し、わが政府が受け入れる意向を明らかにした。せっかく訪れてきた対話の機会を、積極的に生かせることを期待する。

パク・ヒョン ワシントン特派員 hyun21@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/590769.html 韓国語原文入力:2013/06/06 19:05
訳M.S(1767字)

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