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ニュージーランド「原住民虐待の過去 謝罪します」

登録:2013-06-03 09:41 修正:2013-06-03 14:27
賠償・略奪土地返還協定締結
原住民闘争と政府努力が結実
1840年、イギリス政府とニュージーランド原住民が、植民地化協定である「ワイタンギ条約」を結ぶ過程が、1923年にウェリントンで開かれた展示会で再演された様子。条約文に署名する原住民酋長のそばで、イギリスの宣教師が他の酋長と握手している。この条約を締結する上で宣教師の役割が重要だったことがわかる。 ニュージーランド政府 ホームページ

 ニュージーランド北島の田舎マタマタは、映画「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでホビット族が平和に生きていた村「シャイア」として出てくる。19世紀始めに至っても、ニュージーランド原住民もホビット族のように仲良く暮らしていた。しかし、新大陸に食指を伸ばしたヨーロッパ人らが群がってくると、状況は一変した。西洋人と原住民の間で無分別な土地取引が起き、紛争が頻発した。1840年2月6日、イギリス政府は原住民と事実上の「植民地化条約」(ワイタンギ条約)を結んだ。イギリス政府は、この地で統治権と独占的な土地購入権を行使することを保証される一方、原住民は、イギリス国民としての権利を有するとの内容だった。しかし、協約はまともに守られず、マオリ族は無念に土地を奪われた。白人の差別にも苦しめられた。当初から、条約が英語からマオリ語に翻訳される過程でマオリが理解していたより、さらに広範囲に権利が剥奪されたとの論議も起きた。これは1850年代、原住民の独自の王国を建てようとする「マオリキング」(キンティアタンガ)運動につながった。

 アルジャジーラは5月24日、ニュージーランド政府がマタマタで暮らしてきた部族であるンガティ ハウア(Ngati Haua)に、過去の過ちに対して公式に謝罪したと報道した。 ニュージーランド政府はまた、1050万ドルに達する金銭的賠償を行い、不当に奪った土地を返すとする協約を、この部族の代表らと締結した。

 ンガティ ハウアが今回成し遂げた成果は、原住民の長期にわたる闘争と、ニュージーランド政府の持続的な和解努力の結果だ。1960年代、原住民はワイタンギ条約の不当さと差別を是正しようと闘争し、政府は1980年代から謝罪・賠償手続きを進め始めた。過去の歴史の足かせから抜け出し、未来に進もうとする過程だった。歴史学者、原住民の証言など広範囲な調査を経て、ニュージーランド政府は1995年、ワイカト・ナイヌイ部族連合に1億7000ドルを賠償することを決めた。今回のンガティ ハウア族に対する賠償もこの流れに沿っている。

 アルジャジーラは、この賠償交渉の結果は全員が満足するものではないが、原住民の経験が公式に認められたという点で意義深いと評価した。特に今回の機会を通じて、ンガティ ハウアの偉大な指導者であったウィレム・タミハナに対して歴史的な光が当てられると展望した。19世紀に北島の中部地域において非常に影響力のある酋長だったタミハナは、西洋の文物を受け入れ、原住民とヨーロッパ人が共存する方法を模索した。また、マオリキング運動を主導して、1856年に初めての王を誕生させる触媒の役割を果たした。 当時イギリス政府は、彼を危険人物と見なして弾圧した。ンガティ トラスト委員会の共同議長であるモコロ・ジレットは「150年前に土地を失った時、私たちは破片化され、人生の方向を見失ってしまった」として「今後、私たちは、固有の文化的資産と歴史が消えないよう最善を尽くすだろう」と述べた。

イユ・チュヒョン記者 edigna@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/589734.html 韓国語原文入力:2013.05.30 21:41
訳M.S(1603字)

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