原文入力:2011/11/25 21:43(2413字)
認知度で押される中小企業製品・・・“経済領土拡大”は夢みたいな話
チョ・キウォン記者
レーザー治療器業者1位から8位がみな米国会社
米国市場開拓は難しいが国内市場引渡しはたやすい
繊維・履き物・靴下業界の期待も実質的効果は不確実
「関税引下げだけでは中国との価格競争は勝てない」
←韓-米FTAと医療機器市場
2000年代初期までは医療機器はハイテク商品だった。 国内ではよい製品は作れないという先入観が強かった。 企業が国産の製品を持って病院に行けば、値段の安い中国製を輸入して包装だけ取換えのではないかと疑う人さえいた。 最近は技術発展によりそのような先入観はぐっと減った。 だが、認知度面で米国産が絶対的に有利なのは事実だ。
レーザー治療機器を主力とする売り上げ370億ウォンの中小医療業者ルトゥロニクのチェ・ジンギ経営企画チーム部長は韓-米自由貿易協定(FTA)発効の後どっと押し寄せる米国産医療機器のために心配が絶えない。 直ちに打撃があるわけではなかろうが、長期的な被害はどうしようもないというのが彼の説明だ。
韓-米FTAと繊維市場
韓-米自由貿易協定で医療機器の輸入関税8%は10年かけて段階的に撤廃される。 このうち関税の即時撤廃品目が43%で3年内撤廃47%、5年内撤廃3%、10年内撤廃7%だ。 90%が3年内撤廃品目だ。レーザー治療機器は5年内撤廃品目だが、業界では後暴風が深刻だと予想している。 米国市場を切り開くことは難しいが、国内市場を引渡すのはたやすいことだということをよく知っているからだ。 チェ部長は「2007年に米国現地法人を設立して本格的に米国輸出に手を付けたが、売り上げ全体に占める比重は10%にもならない。 品質には自信があるが認知度のために米国市場進出が容易ではない」と語った。 実際レーザー治療機器業者は1位から8位までが全部米国の会社なので、これらを突き抜けて認知度を高めるには天文学的なマーケティング費用がかかる。 私たちの経済領土が拡大されたという主張は彼には夢のような話だ。
医療機器は製薬と共に自由貿易協定で被害を受ける代表的な中小企業業種に挙げられる。 韓国保健産業振興院が今年の初め出した報告書を見れば、2009年の対米輸出額は2億3686万ドルだったが輸入額は約3倍多い7億6313万ドルに達するほど貿易不均衡が激しい。 米商務部は「現在の韓国医療機器市場は人口高齢化の影響で今後10~15%ずつ成長するだろう」として「関税撤廃効果により米国企業は投資が増えるだろう」と展望している。 韓国医療機器工業協同組合のパク・ヒビョン専務理事は「自由貿易協定により高価装備だけでなく比較的安い普及型製品も米国から多量に入ってくるものと見られる」として「病院では認知度の高い米国産製品を好む傾向があって国産品に対する先入観を克服するのが容易でない」と話した。
化粧品は韓-ヨーロッパ連合(EU)自由貿易協定と韓-米自由貿易協定発効がかみ合わさって、困難が加重されるものと見られる。 化粧品は関税10%が10年かけて段階的に撤廃される。 世界の100大化粧品会社のうち30が米国にあり、米国は2009年韓国に約1億7108万ドル輸出してフランス(1億7343万ドル)に続き韓国に最も多く化粧品を輸出した国だ。 大韓化粧品協会関係者は「比重が最も大きい基礎化粧品の場合、韓-ヨーロッパ連合協定により5年かけて関税が撤廃される。 米国との協定では10年に延びたが、エスティロドのようなグローバル生産業者はヨーロッパにも生産基地を置いていて10年猶予は大きな意味がない」と話した。 この関係者は「関税が撤廃されれば米国企業等がそれだけマーケティング費をさらに投じ、関税引き下げ分以上の効果を上げるものと見られる」と話した。
一方、繊維・履き物・靴下などは政府が自由貿易協定で最も大きい恩恵を得るだろうとして挙げている業種だ。 特に繊維業界の中小企業が自由貿易協定にかける期待は大きい。 中小企業が輸出額の90%を占める代表的な中小企業業種であるためだ。 繊維製品は10年にかけて段階的に関税が撤廃される。
←韓-米FTAに反対する市民が25日夕方ソウル広場で開かれたロウソク集会で韓-米FTA抜き討ち採決無効を叫んでいる。 イ・ミョンバク大統領は来る29日協定批准案に署名する予定だ。 キム・ミョンジン記者littleprince@hani.co.kr
だが、実質的な効果については大きなことは言えないのか実状だ。 釜山(プサン)で40年近くメリヤス製造業をしているというある中小企業の社長は「何年か前までは米国に輸出をしたが現在はできずにいる」として「人件費負担が大きくてだんだん零細になってしまった結果、米国業者が大量に注文してきても受けることができない」と話した。 彼は「ナイキのような米国のメジャー製造業者が、安く製造できる国を探して中国、ベトナム、フィリピン、ミャンマーまで行っている。 FTAの効果を期待するのが容易でない」と話した。 大邱(テグ)で糸を生産するある中小企業の社長も「自由貿易協定の効果は当然あるだろう」としながら「ただし関税引き下げ効果だけで中国や東南アジア国家の低価格製品と価格競争をして勝つことはできない。 汗の吸収がよい生地のように差別化された機能性製品でなければ協定の効果は得られないだろう」と話した。
チョ・キウォン記者garden@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/507220.html 訳A.K