原文入力:2011/10/26 21:31(1574字)
チョン・ウンジュ記者
逆行する「通商手続法案」外交通商委通過
←通商手続法の問題点
「交渉に支障きたす憂慮ある時」も非公開
国会監督権も弱化・・・民主弁護士会「法案廃棄せよ」
国会の外交通商統一委員会を通過した通商条約の締結手続きおよび履行に関する法律案(通商手続き法)が、国会の監督権限を制約し政府の密室交渉を煽ることになるだろうという指摘が出ている。 民主社会のための弁護士会(民弁)は26日国会政論舘で記者会見を行ない、通商手続き法廃棄を主張して出た。
最大の問題点として挙げられるのは、政府が通商交渉関連情報を公開しない理由を包括的に拡大したという点だ。 事実上“密室交渉”を合法化したという指摘が出る背景だ。 現行情報公開法を見れば、「外交関係で、公開された場合国家の重大な利益を顕著に害する恐れがあると認められる情報」は政府が公開しないようになっている。 しかし通商手続き法第4条は「相手方が自国の利害と関係する情報であるという理由で非公開を要請する場合」や「通商交渉に支障をきたす恐れがあると判断される場合」にも、政府が通商交渉情報を非公開にするよう追加した。
通商法専門家のソン・キホ弁護士は「非公開理由を包括的に追加したために、通商手続き法が制定されれば今後、韓-米自由貿易協定(FTA)の最高協議機構として協定履行を監督し紛争を解決する「共同委員会」の会議内容までも政府が公開を拒否できることになる」と憂慮した。 実際、外交通商部通商交渉本部は、韓-米FTA協定文ハングル版の翻訳の間違いの正誤表(296件)さえ「米国側が外交文書に分類した」という理由を挙げて公開しないでいる。
国会の監督権が弱まったという点も問題点と指摘される。 第5条と第10条を見れば、国会外交通商委の要求があるか通商交渉で重要事項の変更がある場合、政府が外交通商委に報告するようにした。 だが止むを得ない理由がある場合には事後に報告することができるように例外を置いた。 また、通商条約で直接影響を受ける農林水産委員会など他の常任委および個別の国会議員には、報告を受ける権限を別に付与しなかった。 外交部を除く他の常任委では、事実上通商交渉を監督できないだろうという憂慮が出てくる。 韓-米自由貿易協定の場合、所管常任委は9個にもなる。
農民など被害階層が独立的に通商交渉に参加できる制度も設けられていない。 野党が国会、専門家、関連団体が参加する「通商委員会」を構成しようと要求したが、政府と与党の反対で法案から落ちてしまったためだ。 その上、被害階層に及ぼす影響評価も「通商条約の文案が確定される時に」行なうように規定した(第11条)。 通商交渉過程では、産業別利害関係者が公式的な意見を提出しそれを政府が受け入れる法的装置がまともに保障されていないわけだ。 ただし公聴会(第7条第1項)と国民の意見提出(第8条)は可能とした。
この他に民主弁護士会(民弁)は、通商条約にまるごと国内法すなわち法律と同じ効力を付与するのは、憲法を頂点とする韓国の法律体系に抵触し違憲の素地があると主張した。 韓-米自由貿易協定の場合、法律(憲法第40条)でなく大統領令(憲法第75条)や部令(憲法第95条)等で処理する条項も多いのだが、政府が一括して法律の地位を付与し国会の批准同意の手続きを踏んでいるという指摘だ。
チョン・ウンジュ記者ejung@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/502612.html 訳A.K