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無限競争時代‘優しい代案’協・同・組・合で起業する

原文入力:2011/07/05 10:58(3684字)
キム・ヒョンデ記者

ヨーロッパではすでに株式会社と競争構図
認識・制度が整えられていない韓国 道は遠い

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今度はやや不らちな想像をしてみよう。
大学を卒業したばかりの若者たちが協同組合でベンチャー企業を創る。町内スーパーが小商人協同組合を結成しマーケティングで企業型スーパーマーケット(SSM)を凌駕する。10年後にイーマートを取得するという目標まで立てる。市民1万人が100万ウォンずつ出資した協同組合を結成し、永宗島(ヨンジョンド)近海に風力発電を建設する。労働者が経営危機に陥った会社を取得し労働者協同組合として新たに出発する。新しく生まれる‘農協銀行’は社会責任および協同組合ファンドを作り協同組合事業の安全弁の役割をする。

協同組合を株式会社に比喩すれば、主要顧客の大多数が株主である会社に該当する。ホームプラスの顧客がホームプラスの株主と考えてみなさい。そうではないホームプラスとは顧客忠誠度と参加、ホームプラス商品の購買動機などで明確な違いが生じるだろう。そのような忠誠にあふれる顧客集団を持つことはすべての企業経営者の夢でもある。 だが、いかなる株式会社も真似するだけが精一杯で協同組合のような組合員を持つことはできない。

協同組合は‘優しい企業’だ!

イタリア、ボローニャ大学のステファーノ チャマニー教授は 「資本主義と市場を同一視することが私たちの時代の深刻な錯覚」と語った。市場で生産活動を行う起業といえば全て資本主義の株式会社と見なす私たちの通念は大きく誤っているということだ。チャマニーによれば、市場で活動する企業は二種類に分かれる。株式会社のように株主の私的利潤を追求する企業と、協同組合のように公的動機も同時に追求する企業だ。(この頃の社会的企業もまた、後者に属するだろう。)

ヨーロッパでは色々な協同組合企業がすでに資本主義株式会社と競争する代案の軸に位置している。消費者または、農民に良い条件で物を取り引きし、労働者により良い給与と勤務条件を提供しながらも、株式会社との市場競争で勝てる協同組合企業が丈夫な根をおろしている。株式会社だけでなく協同組合企業で‘優しい事業’を行える選択肢が大きく開かれているということだ。もちろん協同組合が万能ではないだろう。協同組合もまた、資本市場での資金調達が難しく意志決定がのろいという弱点を抱えている。

協同組合で起業しよう!
企業の社会的責任が重視され消費者の意識が目覚める中で、優しい企業である協同組合の競争力は引き立って見える。我が国だけが片目をとじて一方通行をしているだけで、一歩外に出てみれば成功した協同組合が随所で目につく。それではなぜ私たちは協同組合で新しく起業することが上手にできないのだろうか? すべての専門家たちの最初の返事は「協同組合で起業できるという認識自体ができていない」ということだ。子供たちが幼い時から協同組合に近づけるように、学校教育の道を開かなければならない。

斬新で創意的な協同組合の設立を難しくしている法制度の不備も一役買っている。 政府のある関係者は「協同組合に対して、統一された法制はもちろん担当部署もなく、誰も考えておらず関心もない」として「協同組合イシューをどこでどのように解決してゆくかと思うともどかしい」と話した。協同組合の長兄と言える農協の役割も不足しており、市民社会も協同組合に大きな関心を見せなかった。

量的成長を示す社会的企業にとっては協同組合が事業組織の重要な選択肢になりうるだろう。協同組合は支配構造と事業内容で100年以上一貫して社会的責任を実践してきた‘社会的企業の元祖’だ。

それでも広い海でようやく基礎を固めたいくつかの生協と原州の地域協同組合が希望の手紙を送っている。底力を失わない邑面単位の色々な地域農協も生きてうごめいている。専門家たちの意見を聞いて協同組合の気運を起こすための議題7種類を整理した。若者たちよ、協同組合で起業しよう!

①協同組合基本法を制定しよう

我が国の協同組合政策は農協法、信協法、生協法など8ヶの特別法に基づいている。協同組合ごとに設立基準と支援および規制がバラバラで、政策を総合的に掌握する政府部署もない。そこから現れる問題は三つだ。労働者協同組合や社会的協同組合など新しい協同組合を設立する根拠がない。他の協同組合どうしが共同事業を行うこともできない。組合自律ではなく監督と規制中心に流れている。組合員の自律と創意を後押しする統一された法制が必要だ。

②協同組合、学校で教えよう

学部過程に協同組合講座を開設している大学は建国大と慶北大、檀国大の3ヶ所だ。残りは全てなくなった。国立農水産大学のすべての講座説明を読んでみても、協同組合という単語は抜けている。営農後継者たちに協同組合で農業ができることさえ話していない。聖公会大とアイコープ生協で協同組合大学院過程を開設したことは意味のある挑戦だ。国連は若者たちが協同組合で事業をすることができるというオプションを認識できるように、すべての学校単位で教育しなければなければならないと要求している。

③協同組合、互いに協同しなさい

協同組合はたくさん集まるほどその力が大きくなる。イタリアの大型生協売り場では色々な協同組合の農産物と工産品を良い場所に陳列し売っている。投資資本の誘致が難しいという弱点もそのような協同で克服している。すべての協同組合が利潤の3%を徴収し、経営が難しい協同組合が生じた時に支援する‘相互扶助’制度も運営している。私たちは邑面の農協間でも共同事業を行うことが容易ではない。農協が生協と手を握る姿も見られない。それでは大企業と競争することはできない。

④学校給食、協同組合の責任だ

学校無償給食は協同組合の発展にとても良い機会だ。無償給食の食材料は当然に地域農産物であり親環境でなければならない。ところが生協は学校の大規模物量を単独で供給するには力が足りず、地域の農協は乗り出そうとしない。地域の学校に安全な農産物を供給することは地域農協と生協の責任であり権利だ。地域の農民らを組織化し協同組合事業を発展させられる踏み台でもある。父母は営利給食業者を信じることができない。

⑤協同組合で社会的企業をしなさい

社会的企業が持続可能にするためには金を儲けなければならず、金を儲けるのに最も適合した組織形態は株式会社だとよく考える。しかし株式会社として事業を行う社会的企業の相当数はアイデンティティの混乱に陥る。それでも非営利団体組織として事業を引っ張っていこうとすれば、色々な限界にぶつかる。ヨーロッパでは社会的企業の70%ほどが社会的協同組合として事業を展開している。私たちには見慣れた光景ではないが、社会的価値を確実に前面に出しながら事業を導くことができる組織形態だ。

⑥市民社会、協同組合運動に乗り出せ

最初の協同組合は工場から始まった。工場の労働者らに生活必需品を安く供給する生協売り場が始まりだった。労働運動と協同組合運動はコインの両面だ。仕事場では労組員として、退勤すれば協同組合と共済組合員になる。我が国の現実は大いに異なる。労働運動は協同組合をたいしたことではないと考える。協同組合綱領を備える進歩政党もない。口だけで叫ぶ社会連帯だ。協同組合は社会運動の外縁を広げることができる良い空間だ。市民社会が立ち上がらなければならない。

⑦農協の試験に協同組合を入れろ

協同組合に心臓がどきどきさせる農協職員がどれくらいいるだろうか?
協同組合に自負心を持ちにくい最も大きな理由は、家族も友人らも協同組合をよく知らないためだ。事実、農協職員たちでさえ協同組合をよく知っていない。世の中の人々が協同組合を認識し関心を持つようにしよう。

農協は協同組合の長兄であることを自認し、学校で協同組合を教えるように社会運動に乗り出さなければならない。第一歩は農協中央会の新入社員試験に協同組合を含ませることだ。

協同組合とは?

利用者所有企業だ。事業の利用者が共同で出資し協同組合を結成する。
協同組合の目的は利用者(組合員)に最大限の経済的便益を提供することだ。協同組合には利潤が残らないが、組合員の顧客の忠誠度は高まる一方だ。事業が繁盛する所以だ。

協同組合の最も大きな弱点は外部資本調達の困難性だ。歴史のある協同組合は内部積立金を積み立ててこの問題を解決している。出資金額と関係なく1人1票が原則だ。

キム・ヒョンデ先任記者 koala5@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/heri_review/485879.html 訳J.S