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アリババも「独自チップ」開発…中国「AI技術自立」の現実へ

登録:2025-08-31 19:55 修正:2025-09-01 06:54
NVIDIAのジェンスン・ファン最高経営者(CEO)=台北/AFP・聯合ニュース

「米国政府による人工知能(AI)半導体チップの中国向け輸出統制は、中国の独自技術開発を加速化するだけだ」

 NVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・ファン最高経営者(CEO)が5月21日、台湾の台北で開かれた記者懇談会で「ファーウェイが急速に革新を遂げているという事実を忘れてはならない」として述べた言葉だ。彼の警告は急速に現実のものとなりつつある。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは29日(現地時間)、中国内部の消息筋の話を引用して、米国のAI半導体設計会社NVIDIAの最も大きな顧客の一つだったアリババが「従来のチップよりさらに汎用性が高く、さらに多様なAIの推論作業に活用できる新しいチップを開発した」と伝えた。アリババはこれまでチップ製造を台湾のTSMCに任せてきたが、今回のチップは中国企業が直接作っている。

 中国はすでに、NVIDIAの低仕様AI半導体チップ「H20」の水準を代替できるチップを独自技術で開発したとみられる。米国政府は7月中旬、NVIDIAのH20などの低仕様チップの対中国輸出を条件付きで許容したが、中国政府は逆に「潜在的セキュリティリスク」を警告し、企業に当分購入しないよう規制したことがこれを示している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは実際、7月に上海に本社を置くメタエックス(metaX)がH20に代わる新しいチップをリリースし、27日に「大量生産を準備している」と明らかにしたと伝えた。このチップはH20よりメモリーが大きいためより多くの電力を消費するが、一部のAI作業の性能を高めていると同紙は報じた。

カンブリコンテクノロジーズ(寒武紀科技)の売上高推移//ハンギョレ新聞社

 また、別の中国のチップ設計会社であるカンブリコンテクノロジーズ(寒武紀科技)が独自開発したチップ「思元」の販売は急増している。同社は26日、今年上半期の売上高が前年同期比4348%増の28億8千万元(約590億円)に達したと公示した。株価は7月23日の600.23元から29日には1492.49元へと2カ月で149%も高騰し、時価総額は6643億元(約13.6兆円)へと膨らんだ。実績に比べて株価が途方もなく高いのは、投資家がそれだけ高成長を期待しているという意味だ。香港証券市場に上場された華虹半導体、SMICなど中国の半導体企業の株価も大幅に上昇している。

 中国のAIスタートアップのディープシークは1月、米国のオープンAIが出したChatGPTより一部の性能が優秀なチャットボットをはるかに少ない費用で開発し、世界を驚かせた。NVIDIAのチップなしでも中国のAIサービスは可能だという分析が出たことで、1月27日にNVIDIAの株価は16.97%暴落し、ナスダック総合指数が3.07%急落した経緯がある。ディープシークは21日、「DeepSeek V3.1」モデルを発売し、「新しいモデルはまもなく発売される次世代の国産(中国産)チップの設計に最適化されている」と明らかにした。

 NVIDIAは米国政府の規制で、第2四半期にH20を中国に全く輸出できなかった。ただ、米国の内需と他の国々への輸出で成長を続け、株価は1月の「ディープシークショック」を超えて上昇傾向を続けた。しかし、今後の中国市場へのアクセスの見通しは依然として暗い。

 アリババが新しいAIチップを開発したというニュースが伝えられた29日、NVIDIAの株価は3.32%下落し、174.18ドルで取引を終えた。ナスダック総合指数も1.15%下落した。

チョン・ナムグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1216158.html韓国語原文入力:2025-08-31 18:14
訳J.S

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