サムスン電子・SKハイニックスなど韓国の半導体企業の実績改善への期待が高まっている。米国の半導体関税賦課による不確実性が緩和され、メモリー半導体の価格上昇・供給拡大が予想されるためだ。
14日、業界によると、韓国の半導体メーカーは米国の対中国AIチップ輸出再開による反射利益を期待している。トランプ政権が対中国輸出の売上額の15%を持っていく見返りとして、4月に輸出を禁止した米NVIDIAとAMDの低性能AIチップ(H20、MI308)の輸出を許可したためだ。
AIチップの先頭走者であるNVIDIAが2023年末、中国向け専用に発売したH20には韓国企業が作った高帯域幅メモリー(HBM)が搭載される。サムスン電子の第4世代製品(HBM3)とハイニックスの第5世代製品(HBM3E 8段)などだ。NVIDIA製H20の中国向け輸出が再開されれば、主にハイニックスの第5世代メモリーが追加で供給されると予想される。
中国政府は、米国製AI半導体の位置追跡への懸念などサイバーセキュリティを理由に、自国企業にNVIDIAのチップの代わりに中国製の代替品の使用を誘導しているという。しかし英フィナンシャルタイムズはこの日「中国のAI企業ディープシークはファーウェイのチップを使用した訓練に失敗した後、新しいモデルの発売を延期し、米国の技術を代替しようとする中国の限界が示された」と指摘した。今年1月、コストパフォーマンスの高いAIモデルである「R1」を発売したディープシークは、中国ファーウェイが独自開発したAIチップのアセンドチップを利用して「R2」モデルを開発したが、技術的問題に直面したということだ。中国当局の規制にもかかわらずNVIDIAのチップ使用は避けられないという意味だ。
メモリー半導体全般の業況もポジティブだ。韓国企業に次ぐ世界3位のメモリー企業である米マイクロンは11日(現地時間)、今年第4四半期(6~8月)の売上高と1株当たり純利益の見通しを上方修正し、「DRAM価格の上昇を反映したもの」と説明した。AI用データセンターとコンピュータ(PC)・モバイル市場全般の需要好調でメモリーの価格が跳ね上がっているという話だ。
一方、トランプ政権が予告した半導体に対する「爆弾関税」への心配は多少緩和される雰囲気だ。米国政府が、米国現地に半導体工場を建設している企業には関税を免除するとの立場を示したためだ。この場合、サムスン電子とハイニックスは共に無関税の対象になる。
KB証券のキム・ドンウォン・リサーチセンター長は「米国の半導体関税100%賦課が、米国現地に工場を建てることのできない中国の半導体企業の価格かく乱を緩和しうる」と指摘した。トランプ関税がむしろ中国企業の「メモリーダンピング」を防ぐことができるという話だ。