米政府が貿易不均衡の解消に向けた米国産エネルギーの購入、牛肉輸入規制の緩和など、韓国政府に全方位的な請求書を突き付けていることが分かった。関税協議を続ける新政府の対米交渉にも難航が予想される。
韓国通商当局の中核となる関係者は26日、政府世宗(セジョン)庁舎で開かれたブリーフィングで「米国側が韓米間の商品分野の貿易不均衡問題を解消する方法を要求し続けている状況」だとし「実務協議でも議論対象である6分野全てに要求事項を伝えた」と明らかにした。
韓国の政府代表団は20~22日(現地時間)、米ワシントンD.C.で米政府と2回目の関税実務協議を行った。協議対象は均衡貿易、非関税措置、経済安保、デジタル交易、原産地、商業的考慮という米国が要求した6分野だ。
3日間の協議で、米国側が対米投資や米国製品購買の拡大、韓国の牛肉輸入規制を含めた各種の貿易障壁の緩和、センシティブな技術の輸出統制など、取り出せるすべてのカードを持ち出して韓国に対米貿易黒字の縮小を迫っているという話だ。
この関係者は「米国の要求事項に、米国側の利害関係者が提起した事案と米政府が作成した貿易障壁報告書は当然含まれる」とし「韓国側からは協議に20人余りが参加したが、米国は通商代表部(USTR)、エネルギー省、商務省、税関・国境取締局(CBP)など50人余りが参加し分野別議論を進めた」と語った。米国が関税交渉に人材を大々的に投入し、攻勢の水位を高めているという意味だ。
ただし今回の協議では、為替レートや米政府が最近調査に着手した外国政府の薬価統制、原産地問題などは議論されなかったという。韓国政府は、トランプ大統領の念願であるアラスカのエネルギー開発事業への投資要求についても言葉を控えている。
韓国通商当局は米国が賦課した相互関税と自動車・鉄鋼などの品目別関税、まだ可視化されていない半導体・スマートフォン関税などを全て免除すべきだという立場を米国側に伝えた状態だ。また、韓国は既存の韓米自由貿易協定(FTA)により関税率をさらに引き下げることができないだけに特別な考慮が必要だという要請も伝えた。
この関係者は「次の技術協議日程は新政府が発足してから米国側と協議して決める予定」だと説明した。次期政府は発足するやいなや米国の請求書を受け取ることになるという意味だ。米国が要求する貿易障壁報告書の要求事項の相当数は法改正などが必要なため、今後の手続きは容易でないとの見通しが出ている。