国際信用格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、これまでの韓国の長期信用格付け「AA」を据え置くとともに、見通しもこれまでと同じ「安定的」とした。12・3内乱による政治的不確実性が民主主義制度の枠内で解消され、経済的リスクへと転移しなかったという評価だ。ただ、今後の政治的分裂はリスク要素として残る見通しだと述べた。
S&Pは15日、「韓国の国家信用格付け評価資料」で「昨年12月の戒厳令宣布にともなう政治的変化によって国の信用格付けを維持するシステムが弱まったとは判断しなかった」として、韓国の信用格付けを据え置いた。S&Pは2016年に韓国の信用格付けを「AA-」から「AA」へと引き上げ、その後、8年間据え置いている。
また、米国政府の主導する「関税戦争」の余波も一時的なものだとの見通しを示した。「米国政府による高率関税は、企業の売上と利益を成長させ維持する能力に、よりいっそう大きな負担となっている」としながらも、「韓国経済は他のほとんどの高所得国より高い成長率を維持するとみられる」と述べた。韓国は半導体、造船などのグローバル競争力を維持する産業を保有しているうえ、米中対立によって韓国企業が「反射利益」を得る可能性がある、というのがS&Pの示した根拠だ。
ただし、急激な通商秩序の変化による短期的な衝撃は避けられない見通しだ。S&Pは「今後2年間、貿易に支障が生じることにより、韓国の実質経済成長率は2025年に1.2%、2026年に2%へと下落すると予想される」と述べた。韓国銀行(1.5%)や韓国開発研究院(KDI、1.6%)などが既に示している見通しより低い数値だ。ただし「今後、韓国の成長率は年平均約2%のラインに回復するだろう」と補足した。
また、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の罷免後に深刻化する政治的分裂が、長期的なリスク要因になりうると警告した。「多くの国民が戒厳令宣布と尹前大統領の罷免に対して異なる見解を持っている」として、「深化した分裂は次期政権の力量を悪化させ、財政力と経済回復の強化に困難をきたす恐れがある」と述べた。