65歳以上の高齢運転者は、先行車両の急停車や突発的な横断状況での反応速度が非高齢運転者に比べて遅いという道路走行テスト結果が出た。
韓国消費者院は、高齢・非高齢の運転者34人(各17人)を対象に市内道路走行シミュレーションテストを実施した結果を10日に公開した。消費者院は、道路走行シミュレーターを通じてVR(仮想現実)で具現した突発状況でブレーキが作動するまでの反応時間がどれくらいかかるかを調査した。
先行車両の急停車状況では、高齢者(3.56秒)が非高齢者(3.09秒)より0.47秒ほど遅れて反応した。不法駐車車両に視野が制限された状態で子どもが突然飛び出して横断する状況では、高齢者(2.28秒)が非高齢者(1.20秒)より1.08秒遅れて反応し、対処がさらに困難だった。時速50キロメートルで走行する車の運転者が突発状況でブレーキを1秒遅れて使用すると、約14メートルさらに走行した後にブレーキが作動する。
ただ、交差点で右折車が突然進入する状況では、高齢者(1.13秒)と非高齢者(1.11秒)の反応速度にはほとんど差がなかった。
消費者院が高齢運転者300人を対象に交通安全認識を調査した結果でも、回答者300人のうち182人(60.7%)は「高齢運転者が非高齢運転者に比べて交通事故を起こすリスクが高い」と認識していた。その理由としては、「判断力や反応速度の低下」(95.6%)を挙げる回答が最も多かった。
実際、韓国の交通事故発生件数は2020年の20万9654件から2023年は19万8296件へと年平均1.84%減少する傾向だが、高齢運転者による交通事故は2020年の3万1072件から2023年は3万9614件へと年平均8.43%の増加傾向にある。交通事故全体のうち、高齢運転者が起こした事故の割合も同期間に14.8%から20%に増加した。
韓国は高齢運転者の遅い反応速度による交通事故を予防するため、自動車に非常自動制動装置を設置することを義務付けている。しかし、ペダルの誤操作防止装置が装着された車両は、極めて制限的に発売されている。日本の場合、高齢者など補助が必要な運転者のために非常自動制動装置とペダルの誤操作防止装置が設置された車両を「サポカー(Safety Support Car)」として認証し普及させている。
韓国消費者院は今回の調査結果を関係機関と共有し、▽高齢者保護のためにペダルの誤操作防止装置が設置された車両の製造拡大方案を設け▽車両安全技術および交通安全に対する教育強化を建議する予定だと明らかにした。