内乱罪被疑者の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾訴追案が定足数未達で廃棄され、この10年余り過去最高等級(Aa2 安定的・ムーディーズ基準)を維持してきた韓国の国家信用格付けが風前の灯となった。信用格付けが下落すれば、政府、公企業、企業が外国から資金を借りる際、より多くの費用を払わなければならないため、実物経済も金融部門も衝撃を受ける。
チェ・サンモク副首相兼企画財政部長官は8日、関係部処(省庁)合同ブリーフィングで、「何よりも対外信任度が重要だ。対外信任度に一寸の揺れもないよう確固たるものにする」と強調した。これは、小規模開放経済という特徴を持つ韓国経済の構造上、対外信任度は国の競争力に直接的影響を及ぼすためだ。韓国の信用格付けは2015年に頂点を記録してから維持されてきたが、「12・3内乱事態」によって10年ぶりに下落の圧力を受けている。
4日未明に国会議決で非常戒厳が解除された時点までは、信用格付けが下がる懸念は少なかった。実際、3大信用評価機関の一つであるS&Pは、戒厳解除直後に開かれた記者懇談会で、「韓国の制度(institutions)は、予想できなかった戒厳令宣布というイベントの衝撃を吸収できるくらい十分に強い」と明らかにした。韓国の民主主義制度が正常に作動し、内乱事態が短期の衝撃に終わるため、信用格付けの変動の可能性は低いという意味だ。
しかし、7日に弾劾訴追案の国会議決が不発に終わり、状況が反転した。信用評価機関は政治不安の長期化の危険性について警告している。ムーディーズは「(韓国の)政治的不安が適時に解決されなければ、重要な法案を効果的に通過させたり多様な危機に対応したりする政府の力量が弱まりうる」として「信用に否定的(Negative)に作用する」と先日明らかにした。中央大学のリュ・ドクヒョン教授(経済学)は、「不安定な政治状況が長期化する場合、経済ファンダメンタルが揺らぎ、信用格付けが下がる危険性が高い」とし「大統領弾劾など憲法的手続きが迅速に行われてこそ、経済が安定を取り戻す」と話した。