世界3位の完成車メーカーである現代自動車が、米国1位かつ世界5位のゼネラルモーターズ(GM)と手を握る。生産から技術開発に至るまで、あらゆる領域にわたる一種の同盟関係の構築を決めたのだ。電気自動車(EV)の大衆化が遅れている中、低価格モデルを前面に押し出した中国EVメーカーなどとの競争に直面している現代自動車が、「ライバル会社との同居」で突破口を開けるかが注目される。
現代自動車は12日、GMと包括的協力に向けた業務協約を結んだとし、「両社は今後、主要戦略分野で協力し合うことを決めた」と述べた。両社は乗用・商用車、内燃機関車とエコエネルギー、電気・水素技術の共同開発・生産の分野で協力することとした。バッテリーの原材料、鉄鋼、その他の素材などの原材料を共同発注する統合ソーシングも検討する。完成車の開発と生産、未来技術の開発、原材料の調達に至るまで、事実上すべての領域を協力対象としているかたちだ。
現代自動車がグローバル完成車メーカーと協力関係を結んだのは今回が初めてではない。2000年にはダイムラークライスラーと、同社による現代自動車株の所有やエンジンの共同開発などを骨子とした戦略提携を結んでいる。しかし、今回のように包括的な協力を約束したのは今回が初めてで、これほどの協力は世界の完成車メーカーの中では類例を見ない。
EVのコスト削減が切実となっている現代自動車と、ハイブリッド技術の確保を必要とするGMの利害関係が合致した結果だとみられる。主要市場である米国と欧州でEVの需要が鈍化するとともに、低価格モデルを前面に押し出した中国のEVメーカーが欧州市場に食い込んでいることで、現代自動車の苦悩は深い。原価競争力を高めるには、EV価格の40%ほどを占めるバッテリー価格を下げなければならない。GMと共同で原材料調達を行えば、物量増加による交渉力の強化でコストを削減できる。サムスン証券のイム・ウニョン研究員は、「GMはリチウム、ニッケルなどのバッテリー(の原材料の)バリューチェーンを非常にうまくセッティングしているので、ソーシングを共にすれば互いの原価競争力の向上に役立つだろう」と述べた。
独自のハイブリッドモデルを持たないGMの立場からすると、現代自動車とハイブリッドモデルの開発に必要な技術を共同開発したり、ライセンスを取得したりするといった方法で、自国の内需に素早く対応することができる。
GMの北米工場を現代自動車が使用できるかどうかにも関心が集まっている。現代自動車は現在、米国で販売しているEVの大半を韓国で生産しているため、米インフレ抑制法(IRA)に則った補助金支援が受けられない。米国ジョージアに建設中のEV専用工場にGM工場の生産余力が加われば、米国市場での存在感を拡大する足場となりうる。ただし、具体的な協力領域と方法はさらなる議論を経て確定される予定だ。
GMのメアリー・バーラ会長は、「今回のパートナーシップは、体系化された資本配分を通じて製品開発をより効率的にする潜在力を持っている」と述べた。現代自動車のチョン・ウィソン会長は、「グローバル主要市場および各車両セグメントの競争力を強化するための機会を探索できるだろう」と述べた。