勢いに乗っていたテスラが大規模な人員削減に乗り出す。電気自動車(EV)の需要の低迷と中国発の低価格攻勢で車の販売量が減少したからだ。今年に入ってから株価も35%の大幅な下落となっている。
15日(現地時間)、ブルームバーグ通信などによると、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は社員に電子メールで、「10%以上の人員を削減するという難しい決定を下した」と伝えた。昨年末時点でのテスラの社員総数は14万473人。少なくとも1万4千人あまりが職場を去ることになったわけだ。ドルー・バグリノ上級副社長や公共政策・事業開発部門の副社長のロハン・パテル氏ら、取締役の一部もテスラを去る。
テスラが人員削減まで踏み切ったのは、実績が不振に陥っているからだ。今年第1四半期のテスラの車両引き渡し台数は38万6810台で、前年より8.5%減少。2020年第2四半期以来、約4年ぶりの減少だ。テスラはEVの需要増加の鈍化と中国企業の低価格攻勢という二重苦にさらされている。
EVの購入心理は充電インフラの不足、政府による補助金の削減などで以前より冷めつつある。低価格のEVを前面に押し出した中国メーカーとの競争でも押されている。テスラは昨年第4四半期、世界のEV販売台数1位の座を中国の比亜迪(BYD)に奪われた。テスラはこれに対応して値下げに踏み切ったため、収益性にも赤信号がともっている。
テスラは今月23日(現地時間)に第1四半期の営業実績を公開する。昨年第4四半期の売上高は3%増(対前年比)、営業利益は47%の大幅減。証券業界では、今年第1四半期の実績はさらに悪化していると予想されている。業績に対する懸念から、テスラの株価は急落している。昨年末には1株248.48ドルだった株価は、今月15日には161.48ドルまで下落している。