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サムスン電子、米国で64億ドルの補助金獲得…半導体競争での勝機がカギ

登録:2024-04-17 06:07 修正:2024-04-17 07:48
/聯合ニュース

 サムスン電子が米国で9兆ウォン(約1兆円)に近い補助金を獲得したが、市場では芳しくない反応を示している。同社が米国に投資するだけの収益性を確保できるかどうかが確実ではないという懸念の声もあがっている。主要企業に対する米国の補助金策定が一段落しただけに、これから本格化する米国内のファウンドリ(半導体委託生産)競争で誰が勝機をつかめるかがカギとなる見通しだ。

 サムスン電子は16日、有価証券市場で前日より2.68%下落した8万ウォン(約8870円)で取引を終えた。機関が売りをリードし、KOSPI(韓国総合株価指数)の-2.28%より大きい下落率を記録した。午前に一時は7万9400ウォン(約8800円)まで下がったが、取引中に8万ウォンを下回ったのは先月28日以来初めて。先月、NVIDIAがサムスン電子に言及した後に得た上昇分がかなり消えたわけだ。

 これは、昨夜襲った対外的な悪材料を米国の補助金のニュースも相殺できなかった結果とみられる。米商務省は15日(現地時間)、サムスン電子に最大64億ドル(約8兆9千億ウォン)の補助金を支援すると発表した。その代わり、サムスン電子は米国に400億ドル以上を投資し、半導体に関する総合的な産業エコシステムを構築することにした。当初取りざたされていた数字(60億ドル)より補助金の金額は小幅に増加したが、中東地域の緊張と米国発の高金利長期化に対する懸念がより大きな影響を及ぼしたわけだ。

 実際、市場では評価を留保している。サムスン電子が米国投資で得る最大の利点としては、北米地域の顧客確保が挙げられてきた。先端半導体の主要顧客会社であるビッグテック企業が米国に布陣しているだけに、受注が有利になるという見通しも示された。顧客会社としては、コロナ禍以降サプライチェーン管理の重要度が高まったうえ、自国産半導体の使用に対する政治的圧力も大きくなった状況だ。米国が半導体知識財産権(IP)を多く保有しているため、現地の研究開発(R&D)協力をめぐる期待感も高まっている。

 問題は米国でも競争が激しくなっている点にある。サムスン電子が米国に投資するほどの収益性がついてくるかは依然として不透明だ。米政府から最大85億ドル(約1兆3100億円)の補助金を獲得したインテルは、ファウンドリ事業の成功に命運をかけている。2030年までにサムスン電子を抜いて世界2位のファウンドリになると宣言している。TSMCも最近、アリゾナ州に建設中のファブ(半導体製造施設)を2カ所から3カ所に増やすことにした。

 NH投資証券のリュ・ヨンホ研究員は「北米の主要顧客会社からの受注がどれくらいあるかがはっきり知らされたことがないという点が(市場の評価留保に)影響を及ぼしたものとみられる」とし、「TSMC(66億ドル)と補助金規模が同程度という点でも、期待値は高くないようだ」と語った。

 米国現地で最先端ファブを運営することによるリスクもカギとなる。サムスン電子は来年、韓国内で2ナノメートル(nm)半導体の量産を開始した後、2026年に米国にもこれを導入することにした。サムスン電子が海外で最先端半導体を生産するのは今回が初めて。各種運営リスクと高い費用を抱えたうえで、最先端技術を扱うことができる人材も十分確保しなければならない。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は先日「米国の半導体製造人材は2000年の28万7千人から2017年には18万1千人に減った」とし、「当分米国で半導体を生産するには多くの費用がかかるだろう」と報じた。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1136891.html韓国語原文入力:2024-04-16 23:43
訳H.J

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