金融当局はこのところ不動産プロジェクトファイナンス(PF)の構造調整を急いでおり、第2金融圏(銀行以外の金融機関。保険会社、証券会社、信用協同組合などを含む、日本で言うノンバンクよりも広い概念)が緊張している。不動産PFの不良債権化に対する懸念が高まっていることで第2金融圏の資金調達が難しくなってきているうえ、当局が引当金の積み増しを求めているため収益性の悪化も不可避となっているからだ。
イ・ボクヒョン金融監督院長は29日、国会政務委員会の全体会議で「時期的にも体制上も、原則をもってPFを整理すれば秩序ある軟着陸が可能だと信じ、努力している」と述べ、原則に則った不動産PFの構造調整を強調した。
金融監督院は25日にも貯蓄銀行やローン会社などの第2金融圏の主な会社の不動産PF貸付担当役員を呼んでPFリスク点検会議を行い、昨年の決算に引当金の積み増しを反映するよう注文した。今月23日にイ院長が事業性の低いPF事業所に対して「予想される損失には最大100%の引当金を積み立てさせるとともに、迅速に売却・整理させるようにする」と脅しをかけたことに伴うものだ。金融監督院の関係者は「健全性分類や引当金の積み立てが適切なのか綿密に検討するつもり」と語った。貯蓄銀行やローン会社などの与信専門会社は監督規定に則り、PF貸付に対しては一般貸付より高い比率で貸倒引当金を積み立てなければならないが、このような法的最小要件よりも保守的に不良債権化リスクを評価し、先制的に損失吸収率を強めよというのが当局の注文だ。
貯蓄銀行やローン業界は金融当局のこのような注文を、不良不動産PFの債権を急いで整理せよというメッセージとして受け止めている。あるローン業界の関係者は「満期の延長で不良債権を隠すことなく、引当金を積み増すか不良債権を整理するか、二つのうち一つを選べということ」とし、「今は玉石混交の中からの選別が避けられなくなっている」と話した。
第2金融圏が当局の方針に従って利益剰余金や留保金などを用いて引当金の積み増しを行えば、今後一定期間は収益性の悪化も受け入れなければならない。引当金とは焦げ付きに備えて積み立てておく見積金額のこと。引当金が増えるほど総資産収益率や総資本収益率は下がる。それだけ縛られる資金が増えることを意味する。
特にローン会社は信用の低い貸付がほとんどであるため、銀行などに比べて状況はより複雑だ。不良債権の整理が本格化しても、不動産景気の低迷で競売や公売が増加して回収率が下がれば損失がふくらむ恐れがある。
不動産PFの不良化に対する懸念が高まっていることで、第2金融圏は資金調達にも支障が生じる恐れがある。一時的な流動性の問題も浮上しかねないということだ。今月に入って29日までに新規発行されたキャピタル債は4兆2185億ウォン(約4660億円)で、今月中に満期を迎える物量(5兆1490億ウォン)より1兆ウォン近く少ない。アキュオン、エムキャピタル、OKキャピタルなどの中小のローン会社を中心として、借換債を発行せず現金償還に乗り出す企業が増えたことが影響している。これらの企業は最近の不動産PFの不良化に対する懸念の高まりにより債券発行金利が上昇して調達コストが上昇していることから、保有資産を売ったり系列会社から現金の支援を受けたりして借金を返済している。今後もPF市場を含めた不動産市場の低迷が長期化すれば、不良債権を補うため保有資産を売却したり、系列会社の支援に頼ったりするローン会社は増え続けると予想される。ナイス評価情報がヤン・ギョンスク議員に提出した資料によると、PF貸付の含まれる不動産業に対する貸付の非銀行圏での延滞率は、2021年12月には1.21%だったが、昨年12月末には3.29%にまで上昇している。