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経済的余裕のある層もない層も消費を控え…家計負債と不透明な将来が負担な韓国

登録:2024-01-26 08:35 修正:2024-01-26 09:12
クリップアートコリア//ハンギョレ新聞社

 物価高と高金利の長期化で消費萎縮が本格化している。韓国銀行の予想より経済主体が財布のひもを締めるのが早いようだ。すでに年平均の家計負債の利子コストの増加はここ10年間で最も速く、消費を制約しはじめている。相対的に余裕のある階層も不動産市場を様子見し、貯蓄を使っていないとみられる。

 韓国銀行はここのところ、民間消費の回復が予想より遅いという評価を相次いで発表している。今年の民間消費の増加率見通しを引き下げる可能性も取りざたされている。韓銀のイ・チャンヨン総裁は11日の記者懇談会で「11月の見通しと比較してみると、消費見通しは小幅に下方修正され、輸出は小幅に上方修正されているため、今年の成長率は見通し(2.1%)におおかた符合するだろう」と語った。昨年11月に韓銀が予測した今年の民間消費の年間増加率は1.9%(上半期1.5%、下半期2.2%)。

 何よりも、いわゆる「コロナ以降のリベンジ消費」が明らかに弱まっている。コロナ防疫が終わると経済主体たちは商品を購入し、外食にくり出した。しかし自動車や家電製品などの耐久財は一度買ってしまうと長期にわたって使うため、財貨の消費が次第に減る。そのような中、昨年末からは外食などのサービス消費も萎縮している。統計庁のまとめた産業活動動向によると、サービス業の生産は昨年10月、11月と2カ月連続で前月に比べ減少。小売販売も10月に減少(-0.8%)し、11月も1.0%増にとどまっている。

 膨らんだ「借金の負担」が消費を抑えつけている。韓国銀行は18日に発表した報告書「民間消費点検」で、「金利上昇基調が2022年以降本格化したため、今後は借金を多く抱える中・高所得層を中心に利子負担が拡大し、消費余力の改善を制約するだろう」との見通しを示した。2023年の家計金融福祉調査の結果を見ると、すでに2022年の時点で世帯当たりの負債の利子コストは年平均247万ウォンに達している。1年間で18.3%(38万ウォン)増だ。比較可能な統計が開始された2012年以降、規模、増加率ともに最大だ。年齢層別に見ると40代が340万ウォンで利子負担が最も大きく、増加率は65歳以上(30.8%)が最も高い。

 2022年以降、貸付金利が跳ね上がっているため、昨年と今年の利子コストはさらに重くならざるをえない。直近の統計庁の家計動向調査を見ても、昨年第3四半期の世帯当たりの月平均利子コストは12万8988ウォンで、1年前に比べ24.2%増。2022年第3四半期から二桁の増加が続いている。

 相対的に余裕のある階層も財布のひもを緩めていない。米国など主要国で家計の「超過貯蓄」(過去の平均的な貯蓄水準より多い貯蓄額)が消費の起爆剤となっているのとは対照的だ。韓国も新型コロナウイルスの防疫で消費が行き詰まり、中・高所得層に超過貯蓄がたまった。昨年7月の韓銀のイシューノート「パンデミック以降の家計の超過貯蓄の分析および評価」によると、2020~2022年に韓国の家計が蓄積した超過貯蓄の規模は101兆~129兆ウォンほどと推定される。

 しかし、100兆ウォンを上回るこの貯蓄額は、なかなか消費に使われていないとみられる。これは統計庁の家計動向調査でも確認できる。昨年第3四半期の家計の月平均黒字額は116万2096ウォンで、2019年第4四半期(99万7240ウォン)を上回る。黒字額とは所得からすべての支出を引いた後に残る金額のことで、「貯蓄」と類似する概念。

 韓国銀行の分析によると、家計はこの金額を消費または負債の返済に使わず、主に預金や株などいつでも現金化できる金融資産のかたちで保有している。不動産市場への投資を様子見しているとみられる。不動産市場が不確実なため、貯蓄額を消費に使わずに、短期預金などで転がして状況を見守っているのだ。韓銀の関係者は「超過貯蓄が消費として出てくれば民間消費の増加に役立ちうるが、まだ様子見しているようだ」と語った。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/finance/1125429.html韓国語原文入力:2024-01-22 16:53
訳D.K

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