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気勢をそがれたEV、急成長のハイブリッド車…次世代の勝者は誰?

登録:2024-01-01 20:18 修正:2024-05-15 08:59
消費者満足度が次世代のカギ
5世代プリウス=韓国トヨタ提供//ハンギョレ新聞社

 自動車市場の勢力図が揺れている。電気自動車(EV)の需要が低迷する間に、ハイブリッド車が激しい勢いで食い込んでいるからだ。韓国国土交通部と韓国自動車モビリティ産業協会(KAMA)の集計によると、2023年1~11月に韓国国内で新規登録されたハイブリッド車は35万3千台余り。すでに2022年の販売台数(27万4千台余り)をはるかに上回ったばかりでなく、年間では過去最多の40万台に迫ると予想される。韓国国内におけるハイブリッド車の需要は7年間で5倍以上増えるほど急成長している。一方、同じ期間に韓国国内におけるEV販売台数は14万9千台余りで、前年度同期に比べて4%近く減少した。

 自動車市場の流れは変わるのだろうか? 今すぐ状況を予想するのは難しい。トヨタの「プリウス」を皮切りに一時代を謳歌したハイブリッド車は、世界の自動車市場で着実に独自の立場を構築してきた。最近の成長傾向について「ハイブリッド車の再発見」というにはばつが悪いところがある。

 ハイブリッド車をはじめ、EVや水素自動車などの低公害車の需要は、地域や国別の燃費規制や補助金政策、充電インフラによって異なる。韓国とは異なり、米国、欧州、中国など世界の主要市場でEVは依然として好調だ。前年と比べるとおよそ20~30%の成長を維持している。

 ただ、欧州のような地域ではEVの成長傾向も激しかったが、絶対的販売台数ではハイブリッド車がEVを大幅に上回っている。特に日本ではEVと比べるとハイブリッド車の割合が圧倒的に多い。

 自動車は時代の変化に敏感な商品だ。購入には家に次いで大きな費用が投入される耐久消費財だが、トレンドに遅れを取って消費者からそっぽを向かれ始めれば苛酷な代価を払わなければならない。韓国のEV市場不振は、相次ぐ火災事故による不安、充電インフラの不足による不便さなどを背景にしている。高金利と補助金政策もEVの需要に影響を及ぼす要因だ。ハイブリッド車の好調とは裏腹にEVの増加傾向が鈍化したのは、このような脈絡でみるべきだという話だ。

 世界的には、過剰投資で膨らんだEV産業の皮がそがれ、本質が見えてくる段階という見方が多い。特に中国では、政府補助金に頼っているEVメーカーが雨後の筍のように現れては破産したりもした。米国では競争的にEV設備の増設とバッテリー投資に乗り出したメーカーが速度調節に乗り出している。ゼネラルモーターズ(GM)は最近、日本のホンダと推進していた50億ドル規模の新しいEV共同開発計画を撤回した。LGエナジーソリューションと合弁したテネシー州のバッテリー工場とミシガン州の電気ピックアップトラック工場の稼動日程も延期した。フォードもEVへの投資規模を減らし、ケンタッキー州のバッテリー合弁工場の稼動日程を先送りすることにした。

 ハイブリッド車の攻勢は正確にこうした隙間に食い込んでいる。日本自動車工業協会の豊田章男会長は10月25日、東京で開かれたジャパンモビリティショーで「人々が現実に目覚めていることの表れ」と述べ、自分が正しかったことを確信した。長い間トヨタを率いてきた彼は、EV中心の政策に否定的だった。EVが動力源である電気を作るために、それより多くの炭素を排出しなければならない現実と共に、EVの費用便益がハイブリッド車より落ちると主張してきた。

起亜のザ・ニューカーニバル=起亜提供//ハンギョレ新聞社

 トヨタがハイブリッド車に重心を置くのは昨日今日のことではない。1997年に世界初の量産型ハイブリッド車であるプリウスを披露して以来、13日に韓国市場で発売した第5世代プリウスまでトヨタの電動化戦略は一貫した流れを続けている。

 ハイブリッド車は内燃機関と電気モーターを結合した、二つの異なる種類の動力を使って動く車だ。低速では電気エネルギーのみを使用し、高速走行時は内燃機関エンジンが作動して追加動力を支援する。一般的な走行状況でエンジンとモーターが最適な燃費で運転できるように支援するのが最大の長所だ。

 「EV主流」という勢いに押されそうだったハイブリッド車に新しい道が開かれたことは明らかだが、次世代の自動車市場の覇権を握るかは不確実だ。まだ誰も主導権を握っていないだけでなく、乗り越えなければならない壁が低くはないからだ。テスラを除くほぼすべての完成車メーカーが、EVであれハイブリッド車であれガソリン車であれモデルを出していることは、市場の合理的な選択が重要になったことを示している。

 一世風靡した内燃機関車がまだ健在であるように、技術力と現実適合性、未来潜在性などをみると、ハイブリッド車は電気・水素自動車と共に相当期間共存する可能性が高い。結局、車の安全性と経済性の面で消費者の満足度をどれだけ高めるかが次世代を先取りするカギになると思われる。

ホン・デソン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/car/1122454.html韓国語原文入力:2024-01-01 12:05
訳J.S

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