7日に訪れた京畿道サムスン電子平沢(ピョンテク)キャンパスの平沢第1ラインのクリーンルームには、労働者の姿がほとんど見られなかった。半導体装備がしっかり稼動しているかどうかを確認するため、防塵服を着た労働者が時々行き来するだけだった。彼らは任された業務によって白、オレンジ、青、水色の防塵服を着ていた。
クリーンルームでは高級セダン1台分に匹敵する値段の「ウェハー自動搬送ロボット」数十台が忙しく動いていた。ここではウェハーを持ち込んで半導体回路を描けるようにする拡散と薄膜工程をはじめ、回路を描いて区分するポーターなど8大工程が行われる。 30兆ウォン(約3兆1400億円)以上が投入された。ここで生産されたウェハーはパッケージングなどの後工程のため、忠清南道温陽(オニャン)に送られる。サムスン電子関係者は「半導体生産工程がほとんど自動化された」と説明した。平沢第1ラインではサムスン電子の主力商品であるメモリー半導体(NANDフラッシュ・DRAM)が生産される。
クリーンルームの外は全く違っていた。安全帽をかぶった労働者数十人が工事現場で忙しく動き回っていた。2021年5月着工した平沢3ラインの一部工事と、まだ生産品目を決めていないP4ラインの基礎工事が行われている。これに先立ち、平沢1ラインは2015年6月に工事を開始し、2017年から稼動に入っており、平沢2ラインは2018年1月に着工し、2020年8月から生産を開始した。
サムスン電子が同日、セキュリティが必要な平沢キャンパスを公開したのは、平沢第3ラインが本格稼動したことを記念するためだ。依然として一部の施設は工事中だが、7月からNAND型フラッシュの量産を始めた。サムスン電子は平沢第3ラインに先端半導体生産のため、極端紫外線(EUV)工程基盤のDRAMと5ナノ(10億分の1メートル)以下のファウンドリー工程などの生産施設を設ける計画だ。
米中対立によって半導体産業の不確実性が高まり、半導体業況の低迷が懸念されているにもかかわらず、投資を続ける意志を示したわけだ。サムスン電子半導体事業をリードしているDS部門のキョン・ゲヒョン部門長(社長)は記者団に「半導体の景気サイクルが速くなっており、不況期に投資を減らすと、好況期に良くない結果をもたらす恐れがある」とし、「景気の変化に応じて投資規模を決めるよりは、着実に投資を続ける方が望ましいと考えている」と述べた。
これは縮まってしまった後発走者との差を再び広げるためでもある。キョン社長は「最近差が縮まったのは、研究開発(R&D)投資を以前より減らした影響」だとし、「今年下半期はもちろん、来年も良くなるモメンタムは見えないが、危機はむしろ良いチャンスになりうるため、研究開発にさらに投資する計画」だと語った。
だからといって不安がないわけではない。キョン社長は「米中対立の影響で事業において困難もある」とし、「対立の中でも結局互いにウィンウィンとなる解決策を探すために努力している」と話した。また、「政府の役割と企業の役割を区分する必要がある」とし、「(政府側に)何をすべきだと求めるよりは、『中国に先に理解を求め、米国と交渉してほしい』などの懸念を伝えている」と述べた。
同日公開した平沢キャンパスは、総面積289万平方メートル(約87万坪)に及ぶ大団地。器興(キフン)キャンパス(142万平方メートル)と華城(ファンソン)事業所(159万平方メートル)の面積を合わせた水準で、平沢第1~3ラインに加えさらに3ラインを建設できる規模だ。キョン社長は「平沢キャンパスは、業界最先端の14ナノDRAMと超高容量VNAND、5ナノ以下の先端非メモリー半導体が全て生産される先端半導体複合生産団地に成長している」と述べた。