最近、サムスン電子とSKハイニックスなど韓国の半導体メーカーは、今年下半期をはじめ来年の投資計画の調整を検討している。グローバルインフレにともなう需要萎縮で半導体価格が下落するうえ、米国が半導体装備やソフトウェアなど中国への輸出の制限品目を増やし、不確実性が高まっているためだ。第4四半期の価格崩壊の可能性まで予想されている。
5日、市場調査会社「トレンドフォース」は「今年第4四半期、半導体価格崩壊の危機が到来する可能性もある」と見通した。トレンドフォースは8月24日、今年第3四半期のNAND型フラッシュの価格の下落幅を、前四半期に比べ8~13%から13~18%に調整したのに続き、1日には再び30~35%へとさらに下がると修正した。価格暴落はメーカー間の合従連衡の触発点になりうると、トレンドフォースは予想した。半導体市場で「チキンレース」が再び発生する可能性があるという話だ。2007~2008年の金融危機当時、台湾の半導体メーカーが値下げに踏み切ったことで、メーカー同士の熾烈な競争が繰り広げられた。これを受け、2006年には7ドルだったDRAMの価格が、2009年に0.5ドルまで下落し、世界2位のDRAMメーカーだったドイツのキマンダは2009年に破産した。
このような状況で、米国の中国に対する半導体関連輸出規制は、韓国企業にとってさらに危機要素として働いている。ある半導体メーカーの関係者は「価格下落に加えて米国の措置がまだ確定しておらず、『霧の中』の状況」とし、「投資や雇用を調整する必要性は大きくなったが、どうすれば良いか決められずにいる」と話した。 産業研究院のキム・ヤンパン研究委員も「半導体の供給過剰やグローバル需要の減少および在庫増加にともなう価格低下、中国の速い技術追撃、米中技術覇権争いの深化などのリスクが同時多発的に起き、半導体産業の不確実性が急激に高まっている」と指摘した。
実際、多くの半導体専門家たちが、国内の半導体産業が深刻な状況にあると診断した。大韓商工会議所が半導体専門家30人を対象に実施し、同日公開した「国内半導体産業専門家調査」によると、「危機状況の入り口」(56.7%)や「危機の真最中」(20.0%)など、10人中7人以上が危機だと診断した。半数以上となる58.6%は、危機が「再来年以降も続くだろう」と予想した。現在の状況が最近10年間で最も深刻な水準だという意見も多かった。専門家の43.4%が2016年の中国のメモリー半導体市場への進入、2019年の米中貿易紛争当時と比べて「より深刻だ」と答えた。西江大学のポム・ジヌク教授(電子工学)は「過去の半導体産業の動揺が主に一時的な対外環境の悪化と半導体サイクルに起因したとすれば、今回の局面はいつ終わるか分からない大国間のサプライチェーン競争と中国の技術追撃まで加わった様相」だとし、「業界の危機感と不安感がいつにも増して大きい」と述べた。
専門家たちは半導体産業発展のための課題として、「チップ4への対応など政府の外交的努力」(43.3%)を最も多く挙げており、「人材育成」(30.0%)や「研究開発支援の拡大」(13.3%)、「投資税制・金融の拡大」(10.0%)などが後に続いた。ポステックのイ・ジャンシク教授(新素材工学)は「半導体が戦略・安全保障問題として浮上し、政治・外交・安全保障的な側面で解決しなければならない多様な難題が生じた」とし、「韓国企業の競争力を維持し、販売を拡大するためには、企業だけの努力ではなく政府の役割が以前よりはるかに重要になった」と指摘した。