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韓国、貿易収支赤字でも…船舶受注・中継貿易に支えられ経常収支は黒字を維持

登録:2022-04-09 06:12 修正:2022-04-09 11:14
2月の経常収支、64.2億ドルの黒字 
原材料費の上昇で黒字幅は縮小 
貿易収支とは別の部分で好調の勢い
釜山港の神仙台埠頭に輸出入貨物が積まれている/聯合ニュース

 韓国は貿易収支の赤字にもかかわらず、経常収支は22カ月にわたり黒字が続いた。黒字の規模は減少しているが、船舶の受注や中継貿易純輸出などに支えられ黒字を維持している。

 8日の韓国銀行の「2022年2月国際収支」(暫定)によると、今年2月の経常収支は64億2000万ドル(約8000億円)の黒字を記録した。2020年5月以来22カ月連続の黒字だ。

 経常収支は外国と商品を売買した結果だ。経常収支に占める割合が最大の商品収支は、貿易収支と同じく輸出入(輸出額-収入額)を集計する。ところが昨年末から、貿易収支は国際原材料価格の急騰にともない輸出額より輸入額の増加幅が大きくなり、昨年12月、今年1月と3月は、それぞれ赤字になった。

 経常収支も、原材料費の負担により黒字規模は縮小している。今年2月の経常収支の黒字額は、前年同期間(80億6000万ドル、約1兆円)より16億4000万ドル(約2000億円)減少した。経常収支における商品収支の規模も42億7000万ドル(約5300億円)で、前年(58億6000万ドル、約7300億円)に比べ15億9000万ドル(約2000億円)減少した。

 しかし、経常収支の赤字転落にはまだ至っていない状況だ。経常収支は、貿易収支より集計範囲がさらに広いためだ。経常収支には、輸出入差を示す商品収支以外に、サービス収支と第一次所得収支が含まれる。2月のサービス収支(5億7000万ドル、約710億円)と第一次所得収支(17億1000万ドル、約2100億円)がともに黒字を記録し、全体の経常収支の黒字の継続に寄与した。

 また、経常収支は商品収支の点でも、貿易収支とは別に集計される船舶の受注や中継貿易純輸出などが好況を示している。貿易収支は「関税ライン」が基準であり、経常収支における商品収支は、所有権の移転時点が基準になる。貿易収支は、関税ラインを越えて完成した船舶が顧客に渡される際に、全額を一度に輸出額に反映するが、経常収支における商品収支は、段階別に受けとる資金を、その時ごとに輸出額に集計する。韓国の造船業界は、今年第1四半期、全世界で発注された船舶の半分を受注し、1位の座を占めている状況だ。造船業界が受けとる前金と中途金が、経常収支の黒字に影響を及ぼしている。

 中継貿易純輸出も、経常収支の黒字に一役買っている。中継貿易純輸出は、韓国企業が海外で生産し輸出するものだ。これは関税ラインを超えないため、貿易収支には含められない。昨年の中継貿易純輸出は221億ドル(約2兆7000億円)で、1980年に関連の統計が開始されて以降では過去最大となり、今年2月の1カ月間でも16億8000万ドル(約2100億円)を記録した。

 韓国銀行のキム・ヨンファン金融統計部長は「国際原油価格の上昇による貿易条件の悪化は、経常収支に否定的な要因だが、貿易収支と別に、船舶・中継貿易輸出・運輸保険料の補正が行われるため、経常収支の赤字転換の可能性は状況を見守らなければならないだろう」と述べた。

 韓国銀行は、今年の経常収支の黒字の規模が減少することはありうるが、黒字は維持すると予想している。韓国銀行は2月、今年の年間経常収支を700億ドル(約8兆7000億円)の黒字と予想した。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1038095.html韓国語原文入力:2022-04-08 10:52
訳M.S

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