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与党イ候補「韓国が基軸通貨国になる可能性高い」発言で論議…SDRと混同?

登録:2022-02-23 09:01 修正:2022-02-23 13:42
IMFの「SDR」、ドル以外の4カ国の通貨を含む 
全経連の主張は「ウォンがSDRに編入される可能性」 
SDR編入は基軸通貨とは違う概念 
国際取引でウォンの比重は非常に低い状況
共に民主党のイ・ジェミョン大統領候補が今月21日午後、ソウル麻浦区のMBCメディアセンター公開ホールで開かれた中央選挙放送討論委員会主催の第20代大統領候補招請・第1回討論会で、討論の準備をしている/聯合ニュース

 共に民主党のイ・ジェミョン大統領候補が、21日に行われた中央選挙放送討論委員会主催の第1回大統領選テレビ討論会で「韓国が基軸通貨国になる可能性が非常に大きい」と述べた発言をめぐり、論争が高まっている。イ候補は、国の借金を増やし拡張的な財政政策を推進できる根拠の一つとして、韓国の基軸通貨国の可能性に言及した。しかし、イ候補の基軸通貨国発言は国際通貨基金(IMF)の「特別引出権(SDR)通貨バスケット」と概念が混在して出たものとみられる。ウォンが基軸通貨になる可能性は極めて低いというのが専門家らの大方の見解だ。

 通常、基軸通貨は国際取引で中心となる通貨を指す。国際貿易決済で使われたり、為替レートを評価する際の指標となり、対外準備資産として保有されるという特徴がある。国際取引をする時、信頼して使える通貨と考えればいい。このように絶対基準ではないため、評価者ごとにあるいは時代によって基軸通貨の範囲や該当する通貨が少しずつ違うこともある。

 単語自体が「複数」ではなく「単数」という点で、基軸通貨(Key Currency)として米国のドルだけを認める見方が多数だ。韓国銀行も経済用語辞典に「20世紀初めまでは世界金融経済の中心だった英国のポンドが基軸通貨として国際取引に主に利用された。第2次世界大戦以降、世界の外国為替取引および外貨準備高の相当部分を占める米ドルが基軸通貨と認められている」と記している。韓国銀行も基軸通貨単数説を認めているということだ。

 では、ユーロや円のように、ドルには及ばないが国際貿易に一部使われる通貨は何か。これは準基軸通貨または交換性通貨という概念で捉える場合もある。IMFが作った仮想通貨「SDR」通貨バスケットもこの例に属する。IMF加盟国は、経済的困難が生じた場合、ドル(米国)、ユーロ貨(ユーロ貨)、人民元(中国)、円(日本)、ポンド(英国)などの通貨を混ぜて作ったSDRという貨幤で資産を引き出すことができる。バスケット構成貨幣は通常、国際的に安定的であり、信頼が高いと評価される。広い範囲でドル以外にこれら4つの通貨も基軸通貨と呼ぶ人がたまにいるのもそのためだ。

 全国経済人連合会(全経連)が13日に発表した「ウォンの基軸通貨編入推進の検討が必要」との報道資料も、こうした見方を示している。当資料は基軸通貨を「国家間貿易・資本取引で一般的に通用する通貨だ。ドル、ユーロ、円、ポンド、人民元の5つの通貨を指す」と定義し、ウォンがIMFのSDR通貨バスケットに含まれる可能性を取り上げている。共に民主党は、イ・ジェミョン候補の発言が全経連の同資料を引用したものだと主張した。

 ただ、このような「広義」に共感する人は多くない。韓銀の調査局長を務めたチャン・ミン韓国金融研究院先任研究委員は本紙との通話で「IMFのSDRと基軸通貨は全く別の概念と考えるべき」と強調した。実際、厳密に言えば、基軸通貨と交換性通貨を同じ位置だとは考えにくい。簡単に思い浮かべても、韓国はもとより世界の主要国はドルを国際取引や為替相場、外貨準備などの基準にする場合が多い。人民元や円などを基準に設定した国は見当たらない。

 全経連もイ・ジェミョン候補の発言で議論が広がると、22日に追加資料を出し、「ウォンがSDRに組み込まれるとしても、国際的に安全資産と認識されてこそ基軸通貨になる」として、一歩引いた。イ候補が全経連の過度な解釈をそのまま受け止め、大統領選討論で論旨を展開したというのが大方の意見だ。

 それなら、ウォンの国際的プレゼンスはどれぐらいだろうか。韓国ウォンは全経連の主張のように、運よくIMFのSDR通貨バスケットに入ったとしても、基軸通貨までの道のりははるか遠いというのが現状だ。2020年基準、韓国の輸出入取引でウォンの割合は2.5%にすぎない。国際銀行間通信協会(SWIFT)が今年1月現在集計した国際決済の通貨比率を見ると、1位と2位はドル(39.92%)およびユーロ(36.56%)で、ポンド、人民元、円も一桁の割合だった。ウォンは公表される20位内に入っていなかった。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1032113.html韓国語原文入力:2022-02-22 19:00
訳C.M

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