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紙幣の時代、幕を下ろすか…韓国銀行、「デジタル通貨」の第1段階実験完了

登録:2022-01-25 06:15 修正:2022-01-25 07:46
現在の貨幣供給構造を維持した「混合型CBDC」実験 
技術的具現化に成功…実際の発行はさらに数年かかる見込み
今月24日午前、ソウル江南区の韓国銀行江南本部で、韓国銀行の関係者らが旧正月を控えて放出された資金を輸送車に積んでいる=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 韓国銀行(韓銀)がデジタル通貨(CBDC)の模擬実験の第1段階を完了した。韓銀の実験は現在の貨幣供給構造を維持したまま、「硬貨および紙幣」を「電子マネー」として形だけ変えるもの。韓銀はさらに1~2年実験を行った後、CBDCを導入するかどうかを決定する計画だ。

 韓銀は24日、「CBDC模擬実験の第1段階を昨年12月に完了し、今年6月までに第2段階事業を滞りなく進める」と明らかにした。CBDCは中央銀行が法廷通貨を硬貨や紙幣ではなく、デジタルの形で発行するものだ。韓銀は全世界が「現金のない社会」になっているという点を考慮し、昨年8月から先行研究を始めた。

 韓銀の第1段階模擬実験は、現在の金融システムから大きく外れない線で設計された。最初からCBDCが関心を集めたのは、中央銀行と個人間の直接取引が可能だったからだ。世界的な金融危機の際、主要国では金利を引き下げても市中にお金が回らず、中央銀行や個人および企業が直接つながっているCBDC口座を導入し、これに直ちにマイナス金利を適用すれば、経済主体らがやむを得ず預金より消費に乗り出すだろうという発想が浮上した。

 しかし韓銀の実験はこうした「直接型」ではなく、「混合型」だ。中央銀行が金融機関を経て民間に通貨を供給する現在の構造をそのまま維持する。韓銀はCBDCを製造し、金融機関の支給準備金と残額を調整しながらこれを発行する。その後、金融機関がCBDCを個人や企業に流通する。我々は現在と同じように金融機関の口座を通じて預金、借入、送金などができる。その代わり、お金は物理的な形ではなく、電子財布の中でデジタル数字としてのみ存在する。

 韓国銀行金融決済局デジタル貨幣技術班のユ・ヒジュン班長は「CBDCの導入が現在の金融システムに大きな混乱を与えてはならないと考え、混合型方式で実験を設計した」とし、「現在の貨幣流通構造とほぼ同じと言ってもいいかもしれない」と述べた。

 韓銀は1段階の模擬実験で、CBDC混合型方式が技術的に可能だという結論を得た。CBDCの製造、発行、流通の基本機能は正常に働いた。このため、第2段階の模擬実験ではインターネットが断絶した状態でのCBDCのオフライン決済、個人情報保護技術などをさらに研究する方針だ。

 ただし、実際のCBDCの導入にはさらに数年かかる見通しだ。CBDCの技術的研究が終わったとしても、法的基盤づくりや社会的コンセンサス成など、解決すべき課題が多いためだ。韓銀は今年6月に第2段階の模擬実験が終了した後も金融機関と協力し、その活用性や技術の検証を続けていく予定だ。

 韓銀のイ・ジュヨル総裁は昨年10月の国政監査で「2年以内にCBDCを導入するかどうかを決める」とし、「導入を決定するとしても実際の発行までには3~4年かかる」と明らかにした。

チョン・スルギ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1028538.html韓国語原文入力:2022-01-25 02:36
訳H.J

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