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ファーウェイを叩いた米国、テスラで迎え撃つ中国…「セキュリティ論争」拡散

登録:2021-03-22 08:42 修正:2021-03-22 11:27
中国、軍人にテスラ乗車禁止令
テスラのユーチューブ映像より//ハンギョレ新聞社

 中国が米国の電気自動車メーカーのテスラを「セキュリティ問題児」と名指しして攻撃に出た。テスラのデータ収集が国家安保を侵害する恐れがあるとして、テスラの車両の軍施設の出入りを禁止したのだ。米政府が中国の通信装備会社の華為技術(ファーウェイ)に対する制裁を続けるなか、テスラを真っ向から狙って対抗したかたちだ。ファーウェイをめぐる米中「サイバーセキュリティ論争」が、テスラに移ったということだ。データ確保競争の真っただ中の自動車業界は、神経を尖らせている。

 21日のウォールストリート・ジャーナルなど主な外国メディアの報道によると、中国は最近、自国の軍人と国営企業の職員のテスラ車利用を制限することにした。特に、軍施設にテスラ車に乗って出入りする行為は禁止される。これに先立ち、中国政府はテスラに対するセキュリティチェックの末、車から収集されたデータが国家安保を脅かすのに使われると判断したという。

 中国が主に問題視したデータは映像記録だ。同社はすべての量産車に360度視野を提供するカメラ8台とレーダー、センサーを装着する。ここには大きく二つの目的がある。カメラ映像はドライバーの走行を助けるオートパイロット機能に活用される一方、本社に移送され自動走行技術の開発にも使われる。中国は後者の過程でデータが流出したり、悪用される可能性があると主張したのだ。

 テスラは直ちに鎮火に乗り出した。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は20日(現地時間)、中国のあるフォーラムで、テレビ電話を通じて「テスラは米国政府と車のデータを共有しない」という趣旨で反論した。中国発のセキュリティ論議が、他の市場に広がるのではないかと懸念している様子だ。

テスラの車がカメラ8台を通じて映像を収集する様子=テスラのユーチューブ映像より//ハンギョレ新聞社

 業界では中国がテスラの長所であり弱点である部分に触れたという分析が出ている。これまで走行データはテスラの重要な競争力と評価されてきた。ニューラルネットワークに活用されるデータの量と質が、人工知能の正確さを決定するからだ。グーグルのウェイモやアマゾンのズークスのように車を量産しない自動運転車メーカーよりも、テスラが有利な点でもある。テスラで人工知能開発を総括するアンドレイ・カルパティ取締役は、2019年に「オートノミーデー」で「(ニューラルネットワークの訓練には)実際、世界から多様なデータを大量収集することが最も重要だ」とし、「テスラは自社の車からデータを取り寄せることができるため、独特なポジションを確保している」と述べた。

 問題は、このようなデータに敏感な個人情報が含まれうるという点だ。テスラは車から収集する映像や位置情報をすべて匿名化すると強調しているが、その特性上、他の情報と結合した場合、個人識別が可能になり危険だというのが専門家たちの指摘だ。セキュリティ施設で集めた情報はそれ自体が問題になることがある。このため、いくつかの国ではすでに論議が起きている。昨年、欧州当局が車を通じた位置情報収集を規制しようとすると、テスラは「当該措置は運転者の安全・便宜に(悪い)影響を及ぼしうる」と反発した。

 業界は、今回の措置がどこに飛び火するのか注視している。多くの国で走行データ収集と処理が事実上「規制の空白」に陥っている一方、業者間のデータ競争は激しくなっている。最近は、伝統的な自動車メーカー各社もデータ競争に参入する傾向を見せている。現代自動車グループのチョン・ウィソン会長は16日のタウンホールミーティングで、「(走行)データを多く集めることをライバル会社よりも多く行う予定」と明らかにしている。

 韓国自動車研究院のイ・ハング研究委員は「問題は中国の自律走行技術のレベルがまだ低いということ」とし「テスラが中国市場を必要とする分、中国もテスラを必要としている状況なので、勢力範囲を見守る必要がある」と述べた。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/global/987669.html韓国語原文入力:2021-03-22 07:41
訳C.M

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