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「18分で80%、5分で120キロ」…電気車の充電速度は信用できるのか

登録:2021-03-15 11:12 修正:2021-03-15 15:22
現代自動車「アイオニック5」=現代車提供//ハンギョレ新聞社

 「超急速充電時、18分で80%充電可能」(現代自動車 アイオニック5の報道資料)

 「5分の充電で最大75マイル(120キロメートル)走行可能」(テスラ スーパーチャージャーV3の紹介資料)

 電気自動車に関心がある人なら心惹かれそうな言葉だ。内燃機関車のガソリン給油に比べてはるかに時間がかかる電気自動車の充電は、参入において依然として最大の壁にあげられるからだ。電気自動車ドライバーたちの間では「充電を待っている間に飲むコーヒーの金額まで車の維持費として計算すれば、エンジン車とあまり変わらない」という笑い話が出るほどだ。完成車メーカーが先を争って「早くて簡単な充電」を打ち出しているのもそのためだ。

 問題は、PRの文言に出ている充電速度が実生活では実現しにくいという点だ。各メーカーは「急速充電所が足りないせい」としているが、インフラだけの問題ではない。電気自動車の充電速度はバッテリーの仕様や充電器の出力だけでなく、バッテリー管理システム(BMS)の充電ロジック、バッテリー残量と温度など、様々な要因の影響を受ける。現実での充電速度を方程式を解くように計算することは難しいという意味だ。にもかかわらず、自動車メーカーは充電速度を算定した具体的な基準を明らかにせず、混乱を招いている。正確な充電速度を把握するために、ドライバーが知っておくべき事項を調べた。

電気自動車の充電速度を決めるもの

 充電速度に対する感覚を掴むためにまず見なければならないのは、充電器の出力だ。出力は、単位時間あたりの電気機器の仕事量を指す電力として表現される。つまり「速度」の概念だ。電気自動車の充電器の出力にはキロワット(kW)という単位を使う。個人的にも購入しやすい7キロワット級の緩速充電器から、最近登場した350キロワット級の超急速充電器まで、スペクトラムが幅広い。充電器によって速度が千差万別である理由だ。

 充電器の出力とバッテリー容量を一緒にみると、充電に必要な時間をおおよそ計ることができる。バッテリー容量はキロワット時(kWh)という単位を使う。1キロワット時は、1キロワットの仕事率で1時間働き続けたとき蓄積された電力量を意味する。350キロワット級の充電器を1時間使用すると350キロワット時の電力量になる。アイオニック5ロングレンジのバッテリー容量が72.6キロワット時なので、理論的には13分以内に100%の充電が可能だということだ。

 「理論的」という言葉がつく理由は、現実とは違うからだ。100キロワット級の充電器の場合、実際の平均出力は60キロワット前後で形成されるという。違いが出る理由の一つは、車種の仕様だ。電力を増やすには電流や電圧をそれだけ高めなければならないが、いずれも技術的に限界がある。一例として、車がより多くの電流を受け入れるためには太い電線を使わなければならないが、そうすると車が重くなり、電費が悪くなる。充電速度を上げようとすると1回の充電走行可能距離が縮まるという、一種の朝三暮四だ。

 そのため、各完成車メーカーが発表する公式の充電速度は、先に計算したものとは差が大きい。アイオニック5の場合、800Vの電圧の350キロワット級充電器を利用する場合、18分で80%まで充電できるというのが現代自動車の公式説明だ。さまざまな条件を考慮すれば、該当の区間で平均170キロワットの電力で充電できるとみたのだ。

1月にオープンした現代EVステーション江東=現代車提供//ハンギョレ新聞社

18分で80%充電…実際は?

 このような公式説明も100パーセント十分ではない。充電速度が同じ充電器、同じ車であっても、様々な条件により減少する。完成車メーカー各社は、バッテリーの安全性を確保するため、バッテリー管理システム(BMS)が充電速度を制御すると主張している。特にバッテリー残量が0%か100%に近い時は速度が顕著に落ちる。一部の企業が「100%完全充電」ではなく「80%充電」を基準に発表するのには、このような理由がある。バッテリーの温度も影響を及ぼす。一般的にバッテリーの温度が低いほど充電速度が遅くなる。

 実際、各社が基準とする充電区間はまちまちだ。いくつかの業者は「0%→80%」ではなく、「5%→80%」や「10%→80%」の区間の速度を発表する。始点が0%に近いほど平均充電速度が遅くなるため、5%か10%を好むのだ。そのため、自動車別に充電時間を正確に比較するためには、各社が基準とする初期バッテリーの残量を知っておく必要がある。

 にもかかわらず、これを透明に案内している会社は少数にすぎない。現代自動車の「アイオニック5」の事例を見てみよう。報道資料には「350キロワット級の超急速充電時、18分以内にバッテリー容量の80%充電が可能」とのみ出ている。充電開始時のバッテリー残量に関する情報はない。消費者の立場では完全放電状態(0%)から80%まで充電するのにかかる時間と理解しうる。だが、これは事実と異なる。ホームページでダウンロードできる「アイオニック5価格表PDF」ファイルには、「18分で10%→80%」と表示されている。「0%→80%」や「5%→80%」区間の充電速度については明らかにしていない。

 テスラはもっと不親切だ。米国で配布されたモデルYの使用マニュアルを調べたが、関連情報は見当たらなかった。国内発売当時に配布した報道参考資料にのみ「(スーパーチャージャーを利用すれば)80%充電まで平均1時間ほどかかる」という文言があるだけだ。

 一方、ルノーサムスンは親切に説明している方だ。50キロワット級の充電器を使えば「70分で0%から80%まで充電できる」という文言をホームページで簡単に探すことができる。緩速充電器(7.4キロワット)を使えば0%から100%まで9時間25分かかるということと、バッテリーの温度によって充電時間が変わる可能性もあるという説明もある。ドイツのフォルクスワーゲンも、ホームページを通じて米国の共用急速充電器(120キロワット)を利用すればID.4を5%から80%まで充電するのに約38分かかると案内している。

曖昧な表現=戦略?…「正確な基準が必要」

 一部のメーカーが戦略的に曖昧な表現を使っているのではないかという指摘も出ている。代表的な例がPR資料によく登場する「5分の充電で最大120キロ走行」などの文言だ。「最大」という表現を用いたことからも分かるように、利用者が実際に経験することになる速度とはかけ離れている。特にバッテリー残量が0%または100%に近いか、充電速度が遅く電費も低い冬の場合は、これよりはるかに効率が落ちる。

 テスラの「オンルートバッテリーウォームアップ」(On-route battery warmup)も同じ脈絡で批判を受けた。同社は2019年にこの機能を発売し、「充電時間を25%削減」とPRした。運転手がカーナビでスーパーチャージャーを目的地に設定すれば、向かう間に自動車がバッテリーを最適温度に予熱して充電速度を上げるということだ。しかし、季節など様々な条件によって効果が変わるのが避けられないため、ドライバーの間ではそれだけの効果を感じるのは難しいという声が多かった。

 消費者に必要不可欠な情報を公開しない場合も多い。現代自動車は超急速充電器ではなく、普通の急速・緩速充電器を使った「アイオニック5」の充電速度を明らかにしていない。350キロワット級の充電所は現在、韓国国内で6カ所だけだ。業界関係者は「充電速度をめぐる競争が激しくなるため、メーカーの立場としては最大限に数字を高めたいという欲がある」と話した。

イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/car/986741.html韓国語原文入力:2021-03-15 07:36
訳C.M

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