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「コロナでGDP67兆が吹き飛び、67万の雇用が消える危機」

登録:2020-08-26 03:17 修正:2020-08-27 09:06
現代経済研究院による経済部門別ショック分析

経済被害の詳細な「総合検診表」 
今年の「-0.5%成長」を前提に被害推定 
新型コロナ前の2.1%成長予測と比較 
再拡散が沈静化しなければ、さらに悪化の懸念 

脆弱地帯の被害は大きかった 
第2四半期の大手企業の生産増加は-3.3% 
中小企業は-9.8%と低迷幅が大きい 
第1四半期の所得減少率が大きく 
自営、臨時、日雇いの雇用に打撃

グラフィック=コ・ユンギョル//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が企業規模、所得階層、地域、性別の違いによって実体経済にどれだけのショックを与えたのかを具体的に把握できる報告書が発表され、注目される。現在のところ「COVID-19とともに過ごした7カ月間」の韓国経済に関する最も詳細な「総合検診表」と言える。予想通り中小企業と所得最下位階層、自営業者と臨時・日雇い、女性、大邱(テグ)・ソウル・済州・仁川(インチョン)に「最も幅広く、かつ深く」ショックが加わったことが分かった。

■昨年のGDPの3.5%が消失

 民間研究機関「現代経済研究院」は25日、『COVID-19ショックの経済部門別影響』と題する報告書を発表し、COVID-19ショックによる今年1年間の韓国のマクロ経済への被害規模を名目国内総生産(GDP、付加価値)67兆2000億ウォン(約6兆200億円)、雇用67万8000件と推定した。昨年、韓国の名目GDP(1919兆ウォン、約172兆円)の約3.5%があっけなく消えたわけだ。

 同報告書は、先月23日に同研究院が発表した今年の経済成長見通し(修正値-0.5%)と、昨年12月時点の成長見通し(2.1%)を比較し、被害規模を推算した。研究院は今年4月に今年の成長見通しを0.3%に下方修正したのに続き、今月に入って「新型コロナ再拡散」の警告音が大きくなると、「第2次経済ショックが懸念される」として、23日にマイナス成長見通しに転じている。

 しかし、最近の新型コロナ再拡散傾向が沈静化しなかった場合、それが今年下半期に韓国経済に及ぼす悪影響はさらに深刻になる可能性が高い。現代経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「第1四半期に韓国経済に対するショックが始まり、第2四半期に経済的被害が本格化した。最近、再拡散の懸念が高まっているが、経済的な観点から見ても(封鎖緩和よりも)防疫の方が重要になってきている」と述べた。報告書が下した「暫定診断」よりも韓国経済の実際の健康状態が悪化する可能性があるというのだ。

■中小企業の被害が最も大きい

 恐慌や金融危機のような経済的要因ではなく、感染症という外部からのショックから始まった今回の「コロナ危機」は、正常な経済活動状態でも相対的に脆弱地帯に属する集団や階層に特に大きな被害を与えたことが、複数の指標で重ねて確認された。企業規模別では、大企業より中小企業の生産活力の方が大きく萎縮した。製造業部門の大企業の生産増加率(前年同期比)は、第1四半期が8.7%、第2四半期が-3.3%を記録したのに対し、中小企業は第1四半期が-1.6%、第2四半期が-9.8%と低迷幅が大きかった。サービス業部門でも、第1四半期(-2.3%)と第2四半期(-4.7%)の生産増加率の減少幅は、大企業より2倍以上大きかった。非対面・非接触などの社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)による売上ショックが、これといった防御・緩衝装置なしに中小企業に真っ先に伝わったことが分かる。

 その被害は、中小企業に主に携わる所得下位階層や非正規労働者、女性にそのまま降りかかった。移転所得(政府災害支援金など)を除いた所得階層ごとの勤労・事業・財産所得の増加率を見ると、1分位(下位20%)の所得減少率が他の階層に比べて特に高かった。1分位の勤労・事業・財産所得の増加率(前年同期比)は第1四半期が-2.3%、第2四半期が-17.0%だったのに対し、5分位(上位20%)は第1四半期が増加(2.3%)で、第1四半期に入ってはじめて減少(-4.0%)に転じている。

■大邱、済州、ソウルに相対的に集中

 従事者の地位による違いを見ると、賃金労働者よりも自営業者の方に、賃金労働者の中では臨時・日雇い労働者に大きなショックが加わっていた。7月現在で、賃金労働者の雇用は9万3000件減少(-0.5%、前年同月比)しているのに対し、自営業者の働き口は12万8000件(-2.3%)減り、減少幅がより大きかった。特に、COVID-19のショックは、女性(60歳以下)の雇用を大幅に減らしたことが分かった。性別ごとの失業率を見ると、2018年7月と昨年7月は女性の方が男性より低かったが、今年7月は女性(4.1%)が男性(4.0%)を上回っている。

 16の市・道ごとのCOVID-19ショックの実情も興味深い。全体的には全ての地域が例外なくショックを受けているが、製造業は大邱、サービス業は済州、庶民の体感景気はソウルが最も大きな痛みにさらされているなど、地域ごとの差がはっきりと出ている。6月現在で製造業の生産活動(前年同月比)が最も大きく落ち込んだのは大邱(-25.4%)で、次いでソウル(-22.7%)、大田(テジョン)と慶尚南道(-16.1%)の順だった。生活物価の上昇率と就業者の増加率で見た庶民の体感景気は、両指標ともにソウルが唯一全国の平均値を下回った。

チョ・ゲワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/959312.html韓国語原文入力:2020-08-25 18:20
訳D.K

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