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英国・韓国 デジタル出版 2つの風景

原文入力:2009-11-23午後07:35:46

ク・ポングォン記者

ロンドン中心部チャリングクロスにある大型書店ブレックウェルでは注文型出版システム‘エスプレッソ ブック マシン’が去る9月から稼動し、誰でも5~10分あれば絶版された本や著作権が満了した本を即席で印刷することができる。

←去る19日、坡州出版都市アジア出版文化情報センターで開かれた‘坡州ブックシティ国際出版フォーラム’でジェームズ デイタ ハワイ大学教授が開幕演説をしている。 出版都市文化財団提供

#1.英国,ロンドン市内

ロンドン市民たちは絶版されて入手する方法がなかった本を、エスプレッソ コーヒー一杯を選ぶように素早く手軽に手に入れる。ロンドン中心部のチャリングクロスにあるプレックウェル書店は去る9月、注文型出版システムの‘エスプレッソ ブックマシン’を導入し、顧客が望む本を現場で作り販売している。100万冊を越える図書目録の中からチャールズ・ディケンズの<クリスマスキャロル>,ダニエル ティポの<キャプテン シングルトン>の本を注文すると、目の前で本が作られ始めた。インターネットでファイルをダウンロードした後、高速両面コピー機を通じて印刷された紙が綴じられて製本され、きちんと裁断された。機械の外に‘できたての’新しい本が作られて出てくるまで5分程だった。写真など印刷状態をはじめとする全体的品質は新刊本とほとんど差がなかった。価格は各々5ポンド(約1万ウォン),7ポンド90セント(約1万5000ウォン)だった。

書名をクリックすれば目の前で印刷
町内書店も競争力確保可能

ブレックウェル書店でエスプレッソ ブックマシンを操作するリアン ダビッシュは「一日平均60冊余りを製作する」として「現在500冊余りの注文がたまっている」と話した。ダビッシュは「大部分の注文がオンラインでされ、90%は贈り物などの用途で自分だけの本を作ろうとする単独出版需要」として「ある無名作家は最近自身が書いた小説3種を60冊ずつ製作し自分で売っている」と話した。

<タイム>が2007年、今年の発明品に選定したエスプレッソ ブックマシンは現在‘イングレムライトニングソース’という会社が著作権を管理する100万冊の本はもちろん、著作権が満了した図書も即席出版する。また注文者が著作権者の場合にも即席出版が可能だ。来年初めにはグーグルが図書データベース数百万冊と連関する予定だ。

デジタル化された図書データベースがこの機械と連結すれば、絶版になった本が生命を得るのはもちろん、大型書店とオンライン書店が支配した図書流通構造も変わる。この機械を備えた町内書店は世界中のどんな図書館や大型書店より多くの種類の本を出版することができる。

ブレックウェル書店のマーケティング責任者ビル ジェイミスンは「出版の歴史でグーテンベルク以後、最も大きな変化になりえ、小さな町内書店がアマゾンドットコムや大型書店と競争することができるようになった」と話した。出版される本が増え、絶版図書が増え、読者の好みが多様化する現実で価値の高い機械だ。

←デジタル技術は読書環境と出版産業にも大きな変化をもたらした。注文型即席出版システムを施行している英国,ロンドンのある大型書店と京畿道坡州出版都市で開かれた出版文化国際フォーラムを通じて、デジタル技術が適用された出版現実と未来をひもといた。

#2.京畿道坡州のある国際行事

去る19~20日、坡州出版都市で開かれた‘第4回坡州ブックシティ国際出版フォーラム’は‘本の進化とデジタル出版の未来’を主題とした。いわゆる‘アマゾン キンドル’の成功以後、国内外で電子書籍が急速に広がっているが、国内出版人にとってデジタル環境は機会より危機と受け止められた。

出版界,機会より危機とみなし
既存出版生態系 崩壊の憂慮が大きい

実際に国内で早く電子本製作に躍り出たブックトピアの実績はみすぼらしい。ブックトピアは野心に充ちて12万冊の本をデジタル化したが、この内の10%だけが売れ、90%の本は一冊も売れないままに崩れた。出版界は1999年にオンライン書店が登場した後、10年間に全国で5000ヶ所余りの書店が消えたと把握している。オンラインで読者は割引とマーケティングのためにベストセラー中心に購入し、資本力とマーケティングが結合した人気作家の小説だけが売れるブロックバスター現象が出版生態系を圧倒している。出版界はMP3とウェブハード以後にレコードと映画産業が被った受難が他人事ではないと見ている。

フォーラムで電子書籍環境を見つめる国内外発表者の認識差は大きかった。国内出版業界のある発表者は「著作権者が電子書籍環境で主導権を行使するだろう」と話したが、オーストラリアから来たクィンズレンド作家センター代表ケイト エルソムは「アップルiTunesの成功に見るように、著作権者などから権利を買い入れ代行する事業者やプラットホーム提供者の役割がさらに重要になるだろう」と見通した。デジタル出版に積極的な米国の大型出版社サイモン&シュースターのキャロライン リディ代表は「会社全体がデジタルを優先視している」として、2万種余りの本を電子書籍として作った成果を発表した。

<パブリシャス ウィークリー>の企画担当編集長アンドリューエルボニスは「韓国のある出版社の社長が‘祖父から出版社を受け継いだが、今は私の二人の子供を扶養するのも難しい現実に変わった’と嘆いた」として「出版業が危機にあるのではなく、祖父の当時の事業方式がこれ以上今の時代に通用しなくなったことに過ぎない」と話した。未来学者のジェームズ デイタ ハワイ大教授はフォーラム閉幕演説で「出版業界にも津波のようなデジタル革命が差しせまっているが、これを見過ごすならば巻きこまれてしまう」と警告し「唯一の対案は波の力を認めサーフィンを習い荒波に乗らなければならないということ」と語った。

ロンドン・坡州/文・写真ク・ポングォン記者starry9@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/389358.html 訳J.S