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38歳を迎えるコンビニ、「洗練された雑貨屋」から「生活プラットフォーム」に変身

登録:2020-03-05 09:07 修正:2020-03-06 20:04
コンビニエンスストア、昨日と明日 
新しい形の「小さな雑貨屋」として初めて登場 
共働き・独身を狙って24時間営業 
韓国・外国系のチェーンができ、成功裏に定着 
顧客の便宜のために金融・物流など異種領域への進出も 
「競争激化、『キラーコンテンツ』の開発が急務」
生活プラットフォームへと変化したコンビニ//ハンギョレ新聞社

 「アクセス性が最も優れた流通網であると同時に、一定部分公的機能を果たしているコンビニエンスストアを(マスクの公的販売所から)除外したのは、消費者に安定的にマスクを配給するという趣旨に合致しない」

 コンビニ店主らで構成された全国コンビニ加盟店主協会は先月26日、声明でこのように明らかにした。前日、政府が農協、郵便局、薬局だけをマスクの「公的販売所」に指定したことに対する反応だった。

 危機的状況でコンビニが公的役割を果たせるという主張は、韓国だけで出ている話ではない。2011年の東日本大震災当時、日本でコンビニは「ライフライン」と呼ばれたりもした。毛細血管のように伸びている全国流通網や高いアクセス性などを基盤に、被災地域に物品を供給したという理由からだった。韓国でもコンビニがマスクの公的受給先となるべきかについては意見が分かれるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散の中で“小さいが強い”コンビニの役割が注目されているという点は否定できないだろう。かつて“洗練された雑貨屋”程度に扱われていた38歳のコンビニの現状だ。

■「小さな雑貨屋」に分類されていたコンビニ

 最初に韓国国内にコンビニが入ってきた時期は1982年にさかのぼる。ソウル中区(チュング)の薬水市場の前でオープンした「ロッテセブン」1号店が韓国初のコンビニだ。この当時出た「毎日経済」の「小さな雑貨屋の新しい形、『コンビニ』初登場」という記事によると、韓国で最初のコンビニは午前7時から午後11時まで年中無休で営業し、食料品を主に販売するものの雑貨と家庭用品も扱ったという。売り場は40坪(1坪=3.3平方メートル)規模で、今のコンビニの平均の店舗の大きさ(22坪)の二倍前後だった。

 しかし、ロッテセブンが低い価格競争力などで間もなく撤退したことで、韓国の本格的なコンビニの歴史は1989年から再び始まったとする見方もある。この時期、ソウル松坡区(ソンパグ)にオープンしたセブンイレブン・オリンピック選手村店は、コンビニの基本営業形態である「年中無休、24時間営業」を初めて掲げた店舗だ。夜遅くまで店を開けていることで「共働き夫婦、独身者を狙った」というのが当時の記事に出てくる。

 外国系コンビニチェーンの進出や韓国のコンビニの登場もこの時期に相次いだ。日本系チェーンのローソン、ファミリーマート、ミニストップ、米国系チェーンのampm、サークルK、国内チェーンのLG25とバイザウェイなどが、90年代の代表的なコンビニチェーンだった。これらのチェーンは莫大な資本を土台に地方にも店舗を出し、コンビニの普遍化に努めた。コンビニの復活4年目の1993年、コンビニは1千店舗に達し、流通業界への定着に成功したという評価を受けた。

■1248人当たりコンビニ1軒…急激に増えたコンビニ

 それから約40年近い時間が流れる間に、コンビニは急速に成長し、また変化した。コンビニの急成長は統計でも確認できる。統計庁のフランチャイズ統計によれば、2014年~2018年の5年間でコンビニの店舗数は、少なくは1年に約3千軒、多くは5千軒ずつ増えた。2018年には全国のコンビニの数は4万1359軒に達し、4万店舗を突破した。韓国の人口の1248人当たりコンビニ1軒の割合で、「コンビニ王国」と呼ばれる日本(2249人当たり1軒)より密度が高いわけだ。市場規模も21兆ウォン(1兆9千億円)にのぼる。

 変化も続いた。市場が大きくなり、業界の競争が激しくなるにつれ、コンビニが提供するサービス領域も異種産業へと拡大し始めたのだ。最も普遍的に定着したのが金融業務だ。2000年代はじめに銀行の現金自動化業務機器(ATM)がコンビニに導入された後、コンビニは一種の「ミニ銀行」として機能している。銀行と提携した店舗ではキオスクなどを通じてデビットカードの発行・口座暗証番号の変更・公共料金の支払いといった業務を行うことができ、一部のコンビニではATMを通じてキャッシングも受けられる。1万8千店舗余りにATMを置いているというGS25の説明によると、昨年同コンビニチェーンで行われた入出金及び振替取引件数は6580万件、取引金額は11兆ウォン(約1兆円)を超えたという。GS25は「毎日300億ウォン(約27億円)がGS25のATMを通じて取引されたということ」と話した。

 大手スーパーなどでのみ行われていた配達業務も、最近コンビニ業界で注目している生活サービスだ。コンビニ本社と配達アプリが提携を結び、消費者が3千ウォン(約270円)の配達費を出してアプリで注文すると、近隣店舗を通じて主な生活必需品を配達してもらえる方式だ。2010年に少数の店舗で有線で配達注文を受け、店舗から直接配達に出る方式で配達サービスを最初に導入したCUは、「ここ数年で配達サービスの売上げが四半期ごとに平均25%ずつ増加している」と話した。

 その他にも、公共料金の支払い、写真のプリント、プロ野球のチケット購入、保険販売、中古携帯電話の回収、洗濯物の回収、航空券の決済、カーシェアリングなどもこれまでコンビニ業界が試みてきた生活サービスだ。コンビニ業界の関係者は「多くのコンビニは消費者の生活半径に最も近いので、顧客の利便性を高めるための生活サービス競争が熾烈にならざるを得ない」と話した。

■「コンビニの成長鈍化、キラーコンテンツを開発すべき」

 コンビニの各種のサービス競争は今後も続きそうだ。信用格付け会社の韓国信用評価が昨年発刊した『2020年産業展望ー小売流通』と題する報告書は、コンビニが良好な成長傾向を維持するだろうと展望しながらも、次第に成長グラフが下がっているため「キラーコンテンツ」を開発するのが急務だと分析した。報告書は「近距離消費および利便性に対する選好度の上昇にもかかわらず、今後コンビニ業界は攻撃的な出店の影響で、この先店舗数が大きく増加する可能性は低い」とし、「弁当以降キラー品目が発掘されなかった場合、購買数および購買単価の大幅な増加も難しい」と見通した。あるコンビニ業界関係者も「店舗数が1万軒以下だったとき、業界で最も重点を置いていたのがアクセス性だったとすれば、4万軒を超えた現在は『コンテンツ』で差別化を試みなければならない。他のコンビニにない商品やサービスを購入するため、300メートルくらい歩いても特定ブランドのコンビニを探して訪れるよう誘導しなければならないからだ」と話した。

シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/consumer/931186.html韓国語原文入力:2020-03-05 02:35
訳C.M

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