「見てください。減った程度ではなく、まったくお客さんがいません」
2日、ソウル市中区のロッテ百貨店本店1階の雑貨売場の職員が、誰もいないデパート内を指してこう話した。普段であれば混み合っているはずの日曜日の昼間だった。化粧品売場の職員も「いつもなら中国人観光客が大勢訪れる支店なので、国内の顧客はこの頃ほとんど来ないようだ」として「中国人観光客も極端に減った」と話した。訪問客も慎重な素振りだった。エレベーターを利用しようとしたある女性の訪問客は、キャラクターマスクを着けて、数字ボタンを押そうとする子供に「触らないで」と注意していた。デパートの入口には、マスク着用の案内文が掲示され、職員も訪問客もほとんどマスクを着けていた。
免税店は訪問客より職員の方が多いほど、一層閑散としていた。普段なら観光客が行列して入るというMLBや化粧品の売場もすぐに入ることができた。ただし、免税店内の薬局売場は、観光客が押し寄せていた。薬局の職員は「手の洗浄剤やマスクは、入荷したそばから売り切れになる」と話した。マスクばかりが大量に入ったショッピングバッグ5,6個を抱えている中国人観光客の姿も目についた。
新型コロナウイルス感染症が拡散し、大規模店舗が続々と休業している。ロッテ免税店の済州(チェジュ)店は、中国の揚州に帰国した確定診断者が23日に訪問したという事実を確認し、3日から臨時休業する。12人目の確定診断者が訪問したことが確認された新羅免税店ソウル店とCGV富川(プチョン)駅店もそれぞれ臨時休業に入った。12人目の確定診断者と14人目の確定診断者夫婦が立ち寄ったことが確認されたイーマート富川店も営業を中断した。これに先立って、5人目の確定診断者が立ち寄ったCGV誠信女大入口店も、先月31日から2日まで営業を中断していた。
確定診断者が直接訪問していないところも利用客が減り内需に打撃が憂慮される。新世界免税店の関係者は「明洞(ミョンドン)店を基準として、前年対比で売上が40~50%減少した」と話した。ロッテ免税店の関係者も「新型コロナの拡散前に比べ売上が20%程度減った状況」としながら「THAAD(高高度防衛ミサイル配備による韓中関係の悪化)以後、春節連休の時は主に売上が減ったが、連休に中国に帰った買い出し商人たちがまた戻ってくれば売上に変化があるだろう」と話した。ロッテホテルワールドは、春節連休の先月24~30日に中国の旅行会社を通した宿泊キャンセルが50件余りに達した。あるホテル業界の関係者は「新型コロナの影響で宿泊予約が全般的に萎縮した」と話した。
大規模店舗のみならず町のカフェや食堂の売上も新型コロナ拡散の影響を受けている。京畿道城南市(ソンナムシ)盆唐区(プンダング)のある飲食店の主人は「普段は土曜日の売上は700~800万ウォン(約60~70万円)程度だったが、今週は450万ウォンで売上が40%以上減った」として「周辺のレストランや商店も同様」と話した。この食堂の顧客は主に高齢層で、新型コロナに弱い高齢者が人混みを敬遠しているためだ。
消費者が大型マートなどの大衆利用施設の利用を敬遠して、オンライン・ショッピングモールは多忙をきわめている。「Kupang」は先月28日、ロケット配送の出庫量が330万件に達し、歴代最高値を記録した。注文が集中し2日にはKupangの早朝配送商品の配送が最大で2時間遅れもした。同じく「11番街」は、先月27日から今月1日までの生活必需品販売量が、一カ月前の同じ期間より二倍以上に伸びた。同じ期間のマスクの販売量は373倍、手洗浄剤は68倍に増えた。