サムスン生命は今年3月に検察庁高官出身のイ・チャンジェ弁護士を社外取締役に選任した。法務部検察課長や最高検察庁企画調整部長などの要職を歴任したイ弁護士は、朴槿恵(パク・クネ)大統領時代の2015年から法務部次官を務め、朴大統領弾劾の時期の長官職務代行職を最後に退任した。昨年6月、同氏は、ヒョソングループの系列会社であるヒョソン化学の社外取締役としても名を連ねた。この時ヒョソンは持株会社である(株)ヒョソンの社外取締役にチョン・サンミョン前検察総長を選任するなど、法曹界出身者を複数起用した。
官僚出身の大企業の社外取締役のうち、検察庁出身者が国税庁出身者を抑えて最も大きな割合を占めたことが分かった。企業評価サイト「CEOスコア」は、国内30大グループの系列会社のうち四半期報告書を提出する企業190社の社外取締役の経歴を全数調査し、9日に発表した。それによると、今年の第1四半期現在、社外取締役総数656人のうち、10人に4人に相当する39.3%(258人)が官僚出身だった。このうち検察出身が43人(16.7%)で最も多く、中でもソウル中央地検と特捜部出身が多かった。続いて国税庁(39人)、裁判所(28人)、企画財政部(23人)、公正取引委員会(21人)、金融委員会(17人)の順だった。検察と裁判所出身者を合計すれば官僚出身者全体の27.6%を占めるほど、法曹出身者の割合が大きかった。
今年の分析で目立つのは、検察出身の社外取締役数が国税庁出身者を初めて上回ったことだ。2015年には国税庁出身が39人、検察出身が35人と国税庁出身の社外取締役が最も多く、その後も昨年までは国税庁が1位を守っていたが、今年は逆転。社外取締役の出身母体が国税庁などの権力機関に集中し、本来の経営監視ではなく「元官僚」によるロビー活動偏重となる懸念が絶えず提起されてきた中、最近になって検察出身の「需要」が大きくなっているのだ。
検察出身者の躍進は、「オーナーリスク」が重要な要因に挙げられている。CEOスコアのパク・チュグン代表は「これまでは現代自動車、新世界、ロッテなどの大手企業で社外取締役を国税庁や公正取引委員会から迎える傾向があった。2015年からはサムスン、CJ、ロッテなどの大企業において『オーナーリスク』が浮き彫りになり、裁判や訴訟問題への対応のため検察出身を増やす傾向が強くなってきた」とし、「検察の中でもソウル中央地検と特捜部からの登用が増えている」と語った。
官僚出身の社外取締役の割合が最も大きなグループは64.3%(9人)の永豊で、斗山(61.9%;13人)、新世界なども社外取締役の半分以上を官僚出身者で固めている。
官僚出身の社外取締役258人のうち、半分以上の154人(59.7%)は1級以上の高位公職者出身だった。このうち次官級出身が87人(56.5%)で最も多かった。1級以上の高位官僚出身の社外取締役が最も多いグループはサムスンと現代自動車(各15人)で、SK、ロッテ(各11人)、CJ、ヒョソン(各10人)などが続いた。官僚出身以外では学界が33.4%(219人)で次点、財界(15.5%・102人)、マスコミ(3.5%・23人)が続いた。