世界的ゲーム企業である日本の「セガ」が、15年間セガのために韓国市場を開拓してきた代理店の職員と営業情報をこっそりと抜き出すなどの“横暴行為”を犯した疑いで公正取引調整院(以下、調整院)に申告された。日本の大企業が韓国で横暴論議を起こしたのはこれが初めてだ。
セガの韓国代理店であるインターツリー(代表パク・ソンニョン)は、最近調整院にセガの韓国法人「セガパブリッシングコリア」(代表 野本明)の公正取引法違反に対する被害救済調整を申し立てた。調整院は4日に申告人と被申告人を調査する予定だ。
セガは、昨年3兆ウォン(約3千億円)を超える売上を上げた日本のゲーム企業だ。インターツリーは、セガの家庭用コンソールゲームを2004年から韓国で販売してきた。調整院は、発注業者と受注業者など力の強い側・弱い側間の紛争を調査し調整する公取委の傘下機関で、調整院の仲裁を拒否すれば、公取委の調査を受けることになる。
インターツリーの申告書によれば、セガは韓国市場を直販体制に転換することにし、販売人力確保のために2017年4月、インターツリーのS部長をこっそり引き抜く“不正スカウト”行為を犯した。さらに同年6~7月にはインターツリーのY次長まで引き抜こうとしたが失敗に終わった。インターツリーは「セガがS部長を引き抜き、会社にばれないようにしろと指示し、続いてY次長に接近し『ポストを準備したのでインターツリーの社長と争って、しばらく他所に行ってから(セガに)来い』と指示した」と述べ、「営業職員が3人しかいないので、1人が離職しても大きな打撃で、2人が離職すれば業務が麻痺する」と話した。インターツリーは、セガの不法の証拠が含まれた携帯メールなどを調整院に提出した。
セガはまた、販売促進、製品陳列状況の把握などを口実に、インターツリーに取引先(ゲーム売場)への同行訪問を要請し、主要取引先と売上実績などの営業秘密を抜き出した後、2017年8月に契約解約を一方的に通知した。セガは、インターツリーが抗議すると直販転換を先送りしたが、その後は無理な“物量押しつけ”で被害を与えた。インターツリーは「セガからの購入額が、2017年には30億ウォン(約3億円)であったのに、2018年には物量押しつけで2倍近い55億ウォンに増え、7億ウォン(約7千万円)余りが在庫として残った」と話した。
セガは昨年末、インターツリーに「(2019年)3月初めに契約を解約する」と通知した。さらに新規ゲームの供給を中断すると、今年初めからは完全に他の企業に総販売業務を任せる報復措置をした。セガは、7~8月に直販転換をする計画だ。インターツリーのキム・ヨンジュン理事は「セガは自身の利益だけを考え、15年間にわたり韓国市場を開拓してきた代理店に不当な横暴行為を働いている」として「契約延長、在庫返品要求が受け入れられなければ、日本のセガ本社前で抗議デモをする計画」だと話した。
調整院は、セガの法違反の素地があるとみて、4日に対面調査を行った後、調停案を用意する計画だ。公正取引法23条(不公正取引行為の禁止)は、社員の不当スカウトなど事業活動の妨害、営業秘密(取引先情報)抜き出しと物量押しつけなど、取引業者の地位乱用、不当な取引拒絶を禁止している。セガコリアのキム・ヒョンジュ副社長は「インターツリーの主張はすべて事実無根」と話した。反論の根拠を提示してほしいという要請に対しては、調整院が審議中という理由で断った。セガは2017年8月、新作ゲーム「龍が如く 極2」発表会の時に製作に参加した日本の声優が、韓国人を「チョーセンジン」と呼び、波紋が大きくなると謝罪した前歴がある。