原文入力:2009-10-15午前08:14:39
インフレ懸念・投機的需要が相まって…オンス当たり1065ドル 1年で30%↑
FRB“デフレ危険がより大きい”…IMF金売却決定, 価格下落要因となる模様
リュ・イグン記者
金価格が連日史上最高値を更新し、金の過去の‘栄光’が再現されるだろうという歌声が鳴り響いている。紀元前16世紀、リディア(現在のトルコ)が金銀を混合した鋳貨を使って以来、金は約3500年間通貨として栄光を享受した。1971年にドル・金兌換が停止する前まで金は貨幣価値を保証し栄光を維持した。
13日(現地時間)ニューヨーク商品取引所で金11月先物はオンス(31.1g)当たり前日より7.50ドル上がった1065ドルを記録した。1年で30%も騰がった。あちこちで金価格が遠からずオンス当たり2000ドルを超えるだろうという展望が出ている。米国インフレ協会(NIA)は6日、金価格が5400ドルに達すると予想した。
だが金価格上昇速度が速くなり‘黄金バブル’警戒令もまた格上げされている。キャピタルエコノミックスのジュリアン・ジェソプ エコノミストは<BBC>放送に「根拠のないインフレ懸念と投機的需要の複合が金価格バブルの要素と見える」と話した。
金価格は景気浮揚のために放出した莫大な資金がインフレを呼び起こすだろうという恐怖を背に負っているが、これはかなり誇張されたものだ。去る8月の米国の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年より0.4%の増加にとどまり、ヨーロッパと日本も低いインフレ上昇率を見せている。ドナルド コーン連邦準備制度理事会(FRB)副議長は13日「現在としてはインフレ(物価上昇)よりデフレ(物価下落)の危険がより大きいと考える」と話した。オンス当たり850ドルで過去の金価格が最高潮に達した1980年の米国のインフレ増加率(13%)と比較してみても現在のインフレ憂慮は誇張されている。<ファイナンシャル タイムズ>のコラムニストであるマーティン・ウルフは14日「高い金価格は懸念を反映するだけであり事実を反映してはいない」と指摘した。
金価格の高空行進を後押しする根拠として弱いドルも挙げられるが、すでに史上最低水準に落ちたドル価値がさらに追加的に落ちる余地はそれほど大きくない。マーティン・ウルフは「ドルの崩壊危険は小さく他の通貨がドルの地位に代わる可能性はより一層少ない」と話した。
現在の高い金価格が持続すると大言壮語することはできない。200ドル台に墜落した金価格が850ドル水準を回復するのに28年という長い時間がかかった。昨年、天井知らずに高騰したオイル価格もバレル当たり147ドルを頂点に下り坂を歩んだ。また他の投資に比べ金の収益率が高いこともない。1980年以後、現在まで米国ダウジョーンズ産業平均指数は約1020%上がったが、金価格は23%上がったに過ぎない。
国際通貨基金(IMF)が先月、財源拡充のために保有中の403tの金を売却することにした決定は今後の金価格下落の要因として作用しうる。通貨基金が1980年まで1417tの金を市場に出し売却したことも当時の黄金バブル崩壊の一要因だった。金生産費が300~400ドルという点を考慮しても現在の金価格は異常に高い。
リュ・イグン記者ryuyigeun@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/382030.html 訳J.S