#キム・ギョンジェさんはコンビニで700ウォンのヨーグルトを買って1000ウォン紙幣で代金を支払う。コンビニの職員は釣銭300ウォンを返す代わりに、コンビニにあるプリペイドカード充填器を利用して、キムさんのTマネー(交通カード)に300ウォンを積み立てる。間もなく到来する「コインレス社会」の一場面だ。
来年上半期からはこうした光景が日常化される見込みだ。韓国銀行は1日「コインレス社会(Coinless Society)」事業の一環で、来年上半期中にコンビニで釣銭をプリペイドカードに積み立てる方式のモデル事業を推進すると明らかにした。
最初に推進されるモデル事業は、各コンビニに設置されたプリペイドカード充填端末を利用して、現金取引時に生じる釣銭を顧客のプリペイドカードに積み立て、以後コンビニ事業者とプリペイドカード事業者が精算する方式だ。コンビニで現在使用中のプリペイドカード充填端末をそのまま使用できるため費用最小化が可能と見られる。
この方式が導入されれば、消費者はコインを財布に入れて持ち歩く不便を減らすことができ、販売者も釣銭のために事前にコインを確保しておく手間が減ることになる。また、韓銀は毎年数百億ウォンに達するコイン製造費用を節減できることになる。昨年、韓国でコインや紙幣を作るのに要した費用は1440億ウォン(約140億円)と集計された。このうちコイン(鋳貨)を作る費用は540億ウォン(約53億円)で、前年(408億ウォン=約40億円)より32.4%も増加した。韓銀は、すでに社会的需要がなくなった1ウォンと5ウォンのコインについて2006年から一般流通物量を製造発行していない。
コインレス社会に対する一般国民の賛成率も高い。韓銀が6~9月に全国成人2500人を対象に実施したアンケート調査で「コインレス社会」に対する賛成(50.8%)は反対(23.7%)よりはるかに多かった。
韓銀は2段階で口座入金・ポイント積立方式を推進し、対象業種も薬局やマートに拡大する方針だ。こうした各種モデル事業を段階的に拡大した後、2020年にはこれらを統合してコインレス社会を実現するのが韓銀の計画だ。
韓銀関係者は「コインを完全になくすのではなく、電子金融インフラを活用してコインの流通を減らすことにより、国民の不便を減らし社会的費用も削減する趣旨」だと説明した。