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大統領府と政府が「サムスン物産合併に賛成しろ」と圧迫…大統領のわいろ疑惑深まる

登録:2016-11-17 07:56 修正:2016-11-17 11:59
国民年金議決権行使専門委員 
「ムン・ヒョンピョ福祉部長官らが電話」 
「知人を通じて大統領府の意向も伝達された」 
サムスン物産と第一毛織の合併に 
国民年金を動員、対価授受疑惑
民主社会のための弁護士会などの会員が昨年7月7日、ソウル、ノンヒョン洞の国民年金江南(カンナム)舎屋前でサムスン物産と第一毛織の合併に反対議決権を行使するよう要求している=イ・ジョングン記者//ハンギョレ新聞社

 昨年、サムスン物産と第一毛織の合併を控えて国民年金議決権行使専門委員が大統領府と保健福祉部長官に賛成するようを勧められたという証言が出てきた。サムスングループがミール財団などチェ・スンシル氏側に239億ウォンを支援したことが明らかになった中で、昨年サムスンの最大懸案に関する大統領府の圧迫事実は朴槿恵(パク・クネ)大統領に対するわいろ疑惑捜査で核心に浮上すると見られる。

 国民年金議決権行使専門委員会のある委員は15日、ハンギョレと会って「当時(ムン・ヒョンピョ)福祉部長官から(合併に)賛成してほしいという電話を受けた。また、知人を通じて『大統領府の意向だ。賛成表示してほしい』という電話も受けた」と話した。さらに「知人は『合併が否決されればサムスングループの継承が暗礁にあたって、韓国経済にとって重要な企業に衝撃が襲いかねない。国家経済に混乱が起こり得るから賛成するのが正しい」と大統領府の意を伝達した。数日後にまた電話があり大統領府の意向だとして意見を伝えてきた」と話した。彼は「『大統領府』をアン・ジョンボム当時経済首席秘書官と理解した」と付け加えた。

 昨年の第一毛織とサムスン物産の合併は、1対0.35の比率でなされて、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長など総帥一家の持分(42.19%)が多い第一毛織側に有利だという論議があった。合併はサムスングループの事実上の持ち株会社を作ることで、イ副会長一家が多くの持分を保有してこそ安定的な経営権継承が可能になるため、サムスンにとってきわめて重要な懸案だった。これは米国のヘッジファンドであるエリオットが合併に積極的に反対して壁に直面したが、サムスン物産は同年7月17日の株主総会で合併案を通過させた。出席株主の3分の2(66.7%)よりわずか2.8%多い69.5%の賛成を得るには、国民年金(持分11.02%)の賛成が決定的だった。

 国民年金は当時、議決権諮問企業の反対勧告にもかかわらず、賛成した。国民年金基金運用本部は、敏感な事案については議決権行使専門委員会で賛否を決めてきたが、本件については投資委員会次元で決めた。この専門委員は「議決権行使専門委員会が反対する可能性が高いため、案件を(私たちに)送らずに自主的に結論を出したと見られる」と話した。こうした動きに反発して専門委員職を辞めたカン・ジョンミン元経済改革連帯研究員は「専門委員会に任せたならば反対が優勢だっただろう」と話した。

 サムスンは自主的ロビーにも乗り出していたことが把握された。この専門委員は「サムスン未来戦略室の社長が訪ねてきて、合併の必要性を詳しく説明した」と話した。別の国民年金議決権行使専門委員も「知人たちが数回電話してきて『賛成しなければならないのではないか』と話した。サムスンの要請で電話してきたという感じを受けた」と話した。

 国民年金の態度をめぐる疑惑は、最近の「チェ・スンシルゲート」で再び火が点いた。参与連帯などの市民団体は、国民年金が不公正な比率でなされた合併に賛成して6千億ウォンの損失を抱え込んだとし、ホン・ワンソン前国民年金基金運用本部長を背任の疑いで告発したことがある。チェ氏が事実上設計したミル財団とKスポーツ財団にサムスンが巨額を出資したことに続き、チェ氏の個人会社にも280万ユーロ(約3億円)を送金した事実もあらわれて、サムスンとチェ氏側の“コネクション”が注目されている。合併案可決の一週間後にサムスン電子のイ・ジェヨン副会長は、大統領府で朴大統領に単独面談し、その翌月にはサムスン電子がチェ氏の会社であるドイツのヴィデックスポーツに送金を始めた。検察は当時朴大統領と単独面談した財閥総師7人が“嘆願”を提出した対価としてミル財団などに対する支援に出た可能性を集中調査している。これに先立って昨年3月には、サムスン電子のパク・サンジン社長が大韓乗馬協会長になったことも、チェ氏の娘チョン・ユラ氏支援のための布石ではないかという疑いを買っている。この専門委員は「最近の事案(チェ・スンシル ゲート)を見れば、金銭を受け取ったから政府がそのように動いたと疑うに十分だ」と話した。

 大統領府などの動きがチェ氏側に対するサムスンの支援対価という疑惑が深まり、朴大統領は一層窮地に追い込まれることになった。対価性が認められれば朴大統領はわいろ容疑の適用を避けるのが一層難しくなる。国民の党のチェ・イベ議員は「チェ・スンシル氏が大統領府と保健福祉部長官に影響力を行使したのか、検察は明らかにしなければならない」と話した。

 これに対してムン・ヒョンピョ当時保健福祉部長官(現、国民年金公団理事長)は、ハンギョレとの通話で「(国民年金専門委員と)意見を交わしたかは分からないが覚えていない」と話した。サムスン関係者は「金銭を送ったのは何かを望んでしたのではなく、チェ氏側要人の脅迫により取られた」とし「ミール財団などに出資したのも慣行的にしてきた準租税性格の支援に過ぎない」と話した。

イ・ジョンフン記者、クァク・ジョンス、イ・チャンゴン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/770683.html 韓国語原文入力:2016-11-17 05:01
訳J.S(2456字)

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