登録 : 2016.07.05 22:28 修正 : 2016.07.06 07:00

90万円のテレビ、70万円の冷蔵庫 
LG電子、360万円台のテレビも発売予定

サムスン、LG電子の超プレミアム製品と一般製品の価格比較=サムスン電子・LG電子提供//ハンギョレ新聞社

国内外メーカーもデザイン・性能高級化に死活
革命的技術発展はないが、業者間競争加速

超高価旋風、欧米企業が先導
韓国企業も別ブランド作り挑戦

「収益よりブランドと技術力の誇示が目的」
「中国企業らの追撃に高級化は不可避」
先行している日本企業との競争も大きな課題

65インチテレビは1100万ウォン(98万円)
浄水器の付いた両開き型冷蔵庫749万ウォン(67万円)
容量21キロのドラム洗濯機222万ウォン(20万円)…

 家電製品を3つ選んで電卓をたたいてみると2千万ウォンを軽く超えた。小型自動車一台分の金額だ。製品ごとに調べてみても、便利機能は目につくが「最先端新技術」と呼ぶには値しなかった。デザインと音響に気を気を配ったOLED(有機発光ダイオード)テレビや、各種の管理機能を強化した冷蔵庫、人間工学的設計を取り入れた洗濯機水準だった。ただならぬ値札を付けたこれらの正体は何なのか。

 この頃の家電売り場では「超プレミアム」という表現が目につく。サムスン電子、LG電子など主要家電企業が大衆的なテレビ、洗濯機、冷蔵庫より1.5~3倍くらい高い製品を先を競って売り出している。一般製品群より高いプレミアム級さえ跳び越える値札をつけて、超プレミアムという「修飾語インフレ」が当たり前になった。こうした製品は家電売り場の中でも販売空間を区分したり、配達やアフターサービスをまったく異なる方式で行い“特別さ”を強調する。

 家電業界が超プレミアム家電製品を区分する基準は、こうした価格を除けば明確でない。韓国、日本、中国、米国の多くの家電業界が競争する世界市場で、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、清掃機などをまとめた「生活家電」(Home Appliances)の年間売上は500兆ウォン(約44兆円)程度だ。超プレミアム家電製品は、このうち所得上位5%に属す顧客を狙った製品と見るのが一般的だ。20世紀中盤までテレビ、冷蔵庫、洗濯機の「3種セット」の普及率は、先進国進入の有無を判別する重要な尺度だった。今は家電製品の普及率で先進国かどうかを判別することはないが、超プレミアム家電製品群が再びその基準として登場する日が来るかも知れない。

 韓国の家電メーカーのうち「超プレミアム・マーケティング」に最も積極的なのはLG電子だ。LG電子は昨年末「シグネチャー」(SIGNATURE)という超プレミアムブランドを作った。日本のトヨタ自動車がレクサスという高級ブランドを作り、現代自動車が最近ジェネシスというブランドを前面に出し始めたのと似た戦略だ。同社は当時「既存のLG電子製品と区分するための統合ブランドで、性能、デザイン、機能を完備した製品にブランドを適用し、見識の高い高所得層顧客を攻略する」と明らかにしたことがある。LG電子のチョ・ソンジン社長は、今年3月のシグネチャーブランド発表会で「市場で売れることは確かに重要だが、シグネチャー製品の一つひとつが何台売れるかより、LGのブランドをどれくらい牽引できるのかに焦点を合わせている」と話した。

 LG電子がシグネチャーブランドを付けた超プレミアム製品では、まず美しいデザインが目につく。出庫価格が1100万ウォンのシグネチャーOLEDテレビは、通常のOLEDテレビとは異なり、明暗の違いを一層繊細に表現する技術を適用し、オーディオのブランドである「ハーマン・カードン」と共に作ったスピーカーも適用した。850万ウォンで販売されるシグネチャー冷蔵庫には、ドアを2回たたけば冷蔵庫内に照明が点き、ガラスを通じて冷蔵庫の内容物を確認できる機能を取り入れた。便利機能を強化して“特別”を感じさせる戦略だ。

昨年登場したLG電子のウルトラOLEDテレビ(77インチ)=LG電子提供//ハンギョレ新聞社

 LG電子は下半期には一台の価格が大型乗用車並みの超高価テレビも出す。77インチ・シグネチャーOLEDテレビの発売を準備しているが、昨年出した77インチ・ウルトラOLEDテレビ(初期出庫価格は4100万ウォンだったが現在は2990万ウォンに下がっている)より高い値段がつくと見られる。LG電子関係者は「発売日程や価格は確定していないが、4千万ウォン中盤台になると見られる」と話した。

 サムスン電子の超プレミアム・マーケティングはやや異なる。LG電子のように別ブランドを作りはせず、既存製品群の中で超高価商品を強調する方式を試みている。LG電子と同じく一般製品より1.5~3倍高い製品が大部分だ。「モノのインターネット」(IoT)など先端情報技術(IT)を適用した点を特徴として掲げる製品もある。749万ウォン(約67万円)の値札がついた冷蔵庫「シェフコレクション」は、炭酸水の濃度や冷蔵庫の温度を微細に調節する機能を組み込んだ。また、689万ウォン(約61万円)の65インチ型クォンタムドットSUHDテレビも一般のUHD製品とは別にクォンタムドット技術を適用し、光反射を減らしたという点を前面に出す。海外の家具デザイナーとの協業でデザインを強調したテレビ「シェリフ(Serif)」も40インチ製品が199万ウォン(約17万円)で、一般のテレビ製品に較べて2~3倍高い。シェリフは、家電売り場ではなく高級家具売り場で販売するなど販売戦略も違う。サムスン電子関係者は「単純にブランドイメージを構築するというよりは、実質的にプレミアム市場を拡大しようと考えている。実際に販売傾向を調べると、主力販売モデルが並型からプレミアム側に移っている」と話した。

 高価製品を中心にしたサムスンとLG電子の競争が熾烈になる中で、中小企業もプレミアム製品群を拡大している。東部大宇電子は、下半期にスタンド型キムチ冷蔵庫などの大型プレミアム新製品を出すことにした。大有ウィニア(旧万都空調)も昨年プレミアム加湿器製品を出したことがある。

 韓国家電業界のこうした歩みは、世界市場で超プレミアム分野を掌握している欧米企業を追撃する過程とも見ることができる。「家電業界のベンツ」と呼ばれるドイツのミレーは、洗濯機、食洗器、コーヒーメーカーからビルトイン家電製品など、多様な高価製品を販売しており、コードレス掃除機や羽のない扇風機で有名な英国のダイソンも超プレミアム戦略を前面に出す代表的メーカーだ。米国ではワールプールがビルトイン家電市場を掌握していて、ゼネラルエレクトリック(GE)も高所得層を狙った「GEモノグラム」「GEプロファイル」という別途のブランドを出したことがある。これらのメーカーは、先ず高所得層を狙った製品を出した後に、ブランドは同じだが相対的に廉価な「エントリーアイテム」で市場を拡大する方式を試みている。LG電子関係者は「昨年、米国でフレンチドア(上に冷蔵室、下に冷凍庫がある形式)冷蔵庫のうち3500ドルを超える製品の比重が2013年比で3倍以上増えた。また、米国の超プレミアム・ビルトインの売上が約80億ドル規模で、市場全体の15%を占めている。一般ビルトイン市場と比較すると、成長率が3倍以上高い」と説明した。家電業界は、両極化の中で富裕層による高級製品需要が増え、経済回復で住宅市場が復活し家電需要も拡大している米国を超プレミアム製品群の主要市場としている。

 しかし、韓国の家電業界は超プレミアム製品が直ちに実績に大きく寄与するとは見ていない。あるマーケティング専門家は「どのメーカーも超プレミアム製品を売って収益を高めようとはしないだろう。LGシグネチャーの場合、広告費負担も大きい。結局「自分たちもこうした製品を作ることができる」という技術力を象徴的に見せて、他社と差別化するマーケティングの側面が強いのが事実だ。(収益とマーケティング効果という)二兎を同時に追うのは難しい」と評価した。家電市場で「私たちは水準が異なるメーカー」という印象を刻印させる目的が強いという意味だ。シグネチャー製品群を出してから4カ月を経たLG電子は、具体的な販売量は明らかにせずに「予想販売量より2倍以上売れている」とだけ説明している。

 超プレミアム家電製品の相次ぐ登場は、市場の変化にともなう不可避の選択という解釈もある。急成長した中国の家電業界が、市場を蚕食して韓国メーカーの競争力が次第に低下しているためだ。LG電子のチョ・ソンジン社長は昨年「中国メーカーはブランドパワーではまだ劣るが、製品面では95%まで追いついた」と話したことがある。世界の家電市場は「家電崛起(身を起こす)」と言われるほどに急速に成長する中国メーカー中心に再編されている。低価格製品群を掌握してきた中国のハイアールとミデアはいつのまにか世界上位圏の家電企業に成長した。日本のサンヨーを買収したハイアールは今年1月、米国のゼネラルエレクトリックの家電部門も54億ドルで買収した。ミデア(美的集団)も先月、東芝の家電事業子会社の東芝ライフスタイルの株式持分80%を買収し、今後40年間東芝ブランドで冷蔵庫、洗濯機、掃除機などを売る。ミデアはイタリアのエアコンメーカーのクリヴェ(Clivet)も最近買収するなど企業規模の拡大を続けている。韓国メーカーが優位を占めているテレビ市場でも、中国政府の支援を背景にした中国メーカーが中低価格製品を大量販売している。

 こうした事情があるため、韓国家電業界は結局ミレーやワールプールのような欧米ブランドとの競争に目を向けざるをえない状況だ。このような動きと関連して目につくのが日本企業の歩みだ。サンヨー、シャープ、東芝などかつて日本の家電産業をリードした企業は、すでに中国企業が買収した。残っている“純粋”日本メーカーのソニーとパナソニックは、製品群を減らし超プレミアム市場に集中している。祥明大経営学科のクォン・セフン教授は「韓国家電産業の韓中日国際競争力比較および政策提言」という報告書で「ソニーはテレビ製品群の中で40インチ型未満のモデルを減らし大型機種に注力している。既存の販売台数を重視する普及型テレビをあきらめて、世界市場占有率競争から撤収する動きを見せている」と分析した。クォン教授は「日本企業らが最近苛酷な構造調整を経た後、元々保有していた基礎固有技術と先端技術競争力で再武装する一方で、中国企業は急速に技術力を向上し韓国を近接追撃しているため、韓国の製造業が再びクルミ割りに使う「ナッツクラッカー」に挟まれたクルミになっている」とも指摘した。

 中国企業の追撃に対する解決法として浮上した超プレミアム家電戦略は、技術発展のみならず市場がそれに合うように形成され、その市場で継続的に優位を守れるかも成否を分ける重要要素だ。韓国家電企業のある関係者は「最近、韓国家電メーカーの超プレミアム戦略を見れば、10年ほど前に韓国メーカーの追撃を受けたソニーの姿を思い出す」と話した。彼は「当時ソニーが超プレミアム製品を出し続け、サムスン電子などに技術力で追いつかれた。中国も1~2年で韓国に追いつくのではないだろうか」と話した。

キム・ソンファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-07-04 10:49
http://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/750748.html 訳J.S(4715字)

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