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失くしたほうが得する奇妙なスマートフォン保険

登録:2014-09-17 09:03 修正:2014-09-17 16:59

6月に発売された「KT安心プラン シーズン2」
月々4700ウォンで加入16か月後に紛失した場合

出庫価の80%を現金のポイントで補償
24か月維持しても3万ウォンだけ払い戻し

保険会社と通信社が合作で規制を避ける
業界がモラルハザードを誘発すると憂慮の声

保険会社の損害が増えれば消費者にとり損

//ハンギョレ新聞社

 通信大手のKTが新たに発表したスマートフォンの紛失保険が、スマートフォンを紛失したほうが有利に設計されているため、加入者のモラルハザードを煽ると指摘されている。KTは今年6月から「東部火災」や「現代海上」と提携し、「オーレフォン安心プラン シーズン2」という名のスマートフォン紛失保険を販売中だ。 この保険の最も重要な特徴はスマートフォンをなくした場合、加入者が好む最新型スマートフォンで補償を受けることができるという点だ。

 この保険の主力商品は月4700ウォン(1ウォンは約0.1円)のプレミアム サービスだ。 加入して16か月が過ぎた後にスマートフォンを紛失したら、加入者は使っていたスマートフォンの価格(紛失当時の出庫価)の80%をKT代理店で現金のように使えるポイントで受けることができる。 若干の差額を負担すれば、このポイントを利用して最新スマートフォンを購入できる。 これは既存の紛失保険や他の通信社の紛失保険に比べてはるかに有利だ。 他の保険は携帯電話を紛失した場合、本来使っていた機種または同級の機種で現物交換するだけだ。

 さらに「オーレフォン安心プラン シーズン2」は携帯電話を紛失した加入者が、紛失していない加入者よりずっと大きな利益を得る余地がある。 月々4700ウォンの契約満了時点となる24か月まで11万2800ウォンを保険料として支払った加入者が携帯電話をなくさなかったら、3万ウォンに該当するポイントを返してもらえる。 24か月後にスマートフォンを交替する際に3万ウォンの割引を受けることができるということだ。

 一方、保険加入16か月後に出庫価85万ウォンの携帯電話をなくした加入者は、約50万ウォンに該当するポイントを受け取ることができる。 虚偽紛失申告をしてスマートフォンを中古市場や部品市場に売れば、ほぼ無料で最新のスマートフォンが購入できてしまうのだ。

 モラルハザードに対する憂慮が説得力を持つ理由は、2年前の経験があるためだ。

 携帯電話をなくした虚偽申告の後紛失保険で受けた現金性ポイントを利用して最新携帯電話に乗り換える事例が2012年に急増した。 これによって一部保険会社の損害率が300%まで高騰した。 このために金融監督院は携帯電話紛失保険約款を標準化し、紛失携帯電話と同じ機器または、同級機器でだけ補償するように決めた。

 だが、KTの「オーレフォン安心プラン シーズン2」は保険会社と通信社の役割を巧妙に振り分ける方法でこの規制を避けた。 保険会社は顧客に紛失した携帯電話と同じ機器で補償し、KTがこの機器を現物で買いとった後、加入者に現金性ポイントを支給する形式だ。 これに対して金融監督院関係者は「モラルハザードに対する憂慮はあるが、保険約款を違反したと見るには難しい。 もう少し見守らなければならないようだ」と話した。

 保険業界でもこの商品に対する憂慮が大きい。 保険会社が負担する損害率限度(ロスキャップ)を120%に制限したが、それでも損害が発生する可能性が高いということだ。 このためKTの移転スマートフォン紛失保険に参加した一部保険会社さえ、「オーレフォン安心プラン シーズン2」と手を切った状態だ。

 匿名を要請したある保険業界関係者は、「深刻なモラルハザードで損害率が高かったのはわずか2年前のことだ。 その間、各保険会社が努力して保障内容を調整し、ある程度安定化していた。 ところで東部火災がKTの提案に応じて問題を引き起こしている。 東部火災がするから現代海上が後追いしたようだ。このままでは再び損害率が高くなり、結局は保険料が上がって消費者の負担として戻ってくる」と語った。

ユ・シンジェ パン・ジュンホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/655472.html 韓国語原文入力:2014/09/16 22:09
訳Y.B(1639

字)

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