恵まれた自然環境の済州道(チェジュド)が‘電気自動車の島’への変身を夢見ている。 昨年電気車160台を市民に普及させ、今年は451台を支援する予定だ。 2030年までに済州で運行する乗用車37万台を全て電気車に変えると言うが…
2002年生物圏保全地域指定、2007年世界自然遺産登載、2010年世界地質公園認証. ユネスコが指定する自然環境分野3冠王の島、済州島が親環境‘電気自動車の島’への変身を夢見ている。
昨年10月、全国で初めて電気車160台を民間に普及させようと公告を出すと、申請者487人が集まった。 政府と地方自治体が電気車購入費(2300万ウォン)と緩速充電器設置費(700万ウォン)を支援し電気車の価格が一般車両と差が縮まるや関心が集中した。 今では済州市内でも電気車をよく見かけるまでになった。
記者も2次申請の時に選ばれて昨年12月4日に電気車SM3 Z.Eを買った後、3ケ月にわたって乗っている。 最初はボタンを押して始動して、充電する時にはトランクから充電ケーブルを取り出すことに馴染めなくて不便だったが、今は周囲に "満足している" と話す。
起亜車のレイ、韓国GMのスパーク、ルノー三星(サムスン)自動車のSM3 Z.Eなど3種の電気車運転者2人ずつに尋ねてみると皆が満足していると話した。 100点満点で1人だけが80点と言い、5人は100点を与えた。
電気車利用者の最も大きな不満は短い走行距離だ。 1回充電すれば車種により135kmまで走行できるとしても、ほとんどが90~100km内外運行すれば、ほとんど毎日充電していると話した。 レイを運転するキム・クォンジン(49・西帰浦市(ソギポシ)・自営業)氏は「バッテリーが50~60%ぐらい残っていても充電する。 完全充電されていなければ不安だ」と話した。 スパークを運転するキム・サンヒョン(60・西帰浦市(ソギポシ))氏は「完全充電すれば130km程度乗ることができるというが、40kmぐらいしか残っていなければ充電する」と答えた。
電気車商用化のために充電インフラの拡充は必須だ。 環境部は全国に充電器1962台を設置した。 この内、20分で80%まで充電できる急速充電器は177台だが、済州だけでそのうち48台(27%)がある。 済州島は今年急速充電器20台を追加設置する予定だ。
環境部交通環境課ヤン・チャンジュ事務官は「済州道で民間普及させたから、他地域からも購入の問い合わせ電話が多い。 予算の限界で市民が願うほどには普及できないのが残念だ。 充電の不便を減らすために2017年までに急速充電器600余台を全国に設置する予定」と話した。
電気車に3ヶ月間乗って見たら
1回の充電で平均100km内外の運行
走行距離が短くて、ほとんど毎日充電‘不便’
約2千ウォン(200円弱)で完全充電 運行費には‘満足’
充電器などインフラ全国で最高水準
条例準備など‘親環境島’への変身 着々
"電気車を未来成長産業として育成"
先月28日、西帰浦市(ソギポシ)に取材に行くため済州道庁2庁舎で100%充電に4~5時間がかかる緩速充電器を利用した。 バッテリー残量が27%の状態から3時間余り完全充電すると充電費用が1500ウォン程度かかり、走行可能距離が100kmと表示された。 1回の充電走行距離は135kmとされているが完全充電しても102kmを越えたことはない。 ルノー三星(サムスン)側に尋ねると、運転者の習慣により影響を受けるとのことだった。
同じ車種を購入したイ・ギョンシル(45・済州市)氏は「最初は130km走れた時もあった。完全充電すれば100kmは越える」と話した。 済州市から西帰浦市中文洞(チュムンドン)まで出退勤しているSM3所有主のキム・ジョンオク(41)氏も「完全充電すれば120km程度は走れる」と話した。
済州市と西帰浦市の中間地点である城板岳(海抜750m)まで登りの道で加速ペダルを踏むとバッテリー消耗量が急増した。 城板岳まで到着すると走行可能距離が67kmと表示された。 城板岳から西帰浦市内まで下り坂ではバッテリーが自動充電され、少しずつ走行可能距離が増えた。 減速したり下り坂を走る時に発生する運動エネルギーを電気エネルギーに変えて再充電するシステムを備えているおかげだ。
西帰浦市庁につくと82kmと表示されていた。 しかし、むやみに走り回る意欲は起きなかった。 この日90km余りを走行して済州市内の自宅に着くとバッテリー残高はいくらも残っていなかった。 いろいろな所を取材しに通うにはどうしても不安だ。
済州島は電気車の試験舞台に適格という。 海抜1100mを通過する道路があり、住生活圏の済州市と西帰浦市が往復80~90kmほどだ。 豪雨と強風、霧も珍しくなく自動車の実験運行条件をあまねく備えている。
電気車の最大の強みは安い運行費用だ。 レイを運行するチェ・クォンジュ(44・済州市涯月邑(エウォルウプ))氏は4ケ月間で6500kmを運行した。 チェ氏は「中型LPG車両は一ヶ月の燃料費が30万~35万ウォンかったが、電気車では4万ウォン」と話した。 済州市から西帰浦市中文洞間を出退勤するキム・ジョンオク氏は「中型車を走らせていた時はガソリン代が一ヶ月に60万~70万ウォンぐらいかかったが、今は10万ウォン程度」と話した。
済州道は今年電気車451台を民間に普及させる計画を立て、上半期に普及させる226台の購入申請を15日から来る28日まで受け付けている。 第1回国際電気自動車エキスポが開かれる15~21日には行事会場である西帰浦市の済州国際コンベンションセンターで、24~28日には済州道庁で受け付ける。 車種はレイ(4人乗),ソウルEV(5人乗),SM3 Z.E(5人乗),韓国GMのスパーク(5人乗)等、国産4種と日産リーフ(5人乗),BMW i3(5人乗)の外国産2種だ。
電気車拡散のカギは不安な充電技術と高い車両価格にかかっていると見られる。 電気車購入補助金が減り、税制恩恵と緩速充電器支援などが今年で終われば、車両価格はかなり負担となる水準になる展望だ。 販売予定価格はレイ3500万ウォン、ソウル4100万~4200万ウォン、SM3 Z.E 4225万~4338万ウォン、スパーク3990万ウォン、リーフ5000万~5500万ウォン、i3 6400万~6900万ウォンだ。
済州道は電気車を2017年までに2万9000台、2020年までに9万4000台余りを普及させ、2030年には済州で運行する乗用車37万1000台余り(増加分含む)を全て電気車に変えるという雄大なビジョンを出している。 もちろん政府の支援を前提にしたものだ。 来月、電気車普及と関連した研究委託を行い条例制定も推進する計画だ。 キム・ホンド済州道スマートグリッド課長は「世界環境首都を推進する済州道が、親環境電気車を未来成長産業として育てようとしている。 今年は昨年より電気車種の選択幅が増えて競争率が5対1を越えると予想する」と話した。
済州/ホ・ホジュン記者 hojoon@hani.co.kr