‘包容成長時代’を主題として30日に開幕した第4回アジア未来フォーラム初日の基調演説に立ったヴィンフリード・ヴェーバー ドイツ マンハイム応用科学大学教授は、ユーロゾーンを席巻している経済危機の中にあってもドイツの‘唯一成長’が可能だったのは中小企業のおかげだと断言した。 あたかも大きな肉の周辺に集まっているピラミテ(鮠ハヤ)のように大企業の周辺で産業生態系を構成している中小企業がドイツ経済の競争力を引き上げているということだ。
ドイツは売上額基準で選定する‘フォーチュン500’リストに上がった企業が29社しかないほど大企業が相対的に弱い。 米国(132社)と中国(88社),日本(62社)はもちろん、ユーロゾーン内の競争国である英国(32社)やフランス(31社)に比べても大企業の数が少ない。 だが、1人当り国内総生産(GDP)や就職率、財政健全性など経済の内実は他の先進国を上回っている。 ヴェーバー教授は 「1300社余りに達する隠れたチャンピオンがドイツ経済の内実を固めている」と紹介した。 ‘隠れたチャンピオン’はドイツの経営学者Hermann Simonが初めて使った用語で、大衆的には良く知られていないが各産業分野で世界市場を支配する中小企業を指す。
隠れたチャンピオンはほとんどが家族経営で職員が10人余りに過ぎないほど規模が小さいものの、世界3位水準であるドイツ輸出額の97%を占めるほどに影響力は強大だ。 2012年スイス国際経営開発院(IMD)の競争力評価を見れば、ドイツ中小企業の効率性は世界1位だ。 売上額対比技術開発投資比率が5.9%で、グローバル大企業の4.2%より高いほど研究開発も活発だ。 雇用創出効果も大企業を上回る。 ドイツ国立中小企業研究所(IFM)によれば、2001~2005年中小企業の働き口増加率が2.5%である反面、大企業は0.5%で5分の1水準に止まった。
隠れたチャンピオンは大企業と競争しない。 ヴェーバー教授は「ドイツで大企業と中小企業は互いに共生、協力する関係だ。 中小企業が成長するためには大企業の助けが必要だ」と話した。 彼は大企業と隠れたチャンピオンが一緒に構成している産業生態系を 「包容成長の良いモデル」として挙げた。
隠れたチャンピオンはドイツの独特の教育制度があってこそ可能だった。 ヴェーバー教授は「ドイツは伝統的に目に見える物を作ることを職業として奨励してきた。 このような製造業を重視する伝統が、ドイツの競争力ある実業教育システムを作った」と話した。 彼は「現在、ドイツ青少年の60%が学校で良質な実業教育を受けている。 ドリリングとミーリング(切削)等の専門技術教育を1年に420時間受ける」と紹介した。 だが、隠れたチャンピオンだけでは包容成長は可能でない。 ヴェーバー教授は「ドイツは2008年金融危機が発生して経済が低迷する兆しを見せるや、労働界を説得して仕事を分け合うことを始めた。 大規模解雇をしない代わりに、企業の賃金費用負担を減らしたのだ。 このような社会的合意が包容成長を可能にする」と話した。
ヴェーバー教授は最後に、大学進学に没入している韓国の教育制度の問題点を指摘した。 彼は「たった一度の大学進学試験(修能)で運命が左右される‘ワンショット システム’を直さなければならない。 若者に多様な機会を提供するテンショット システムを構築しなければならない」と忠告した。
イ・チュンジェ記者 cjlee@hani.co.kr