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"物価安定" → "成長 支援" …韓国も‘量的緩和’に出るのか

登録:2013-01-07 22:00 修正:2013-01-08 01:33

韓銀総裁‘名目GDP目標制’挙論
物価安定より景気浮揚 意志 表明
ウォン貨切り上げ圧迫強まり金利下げも
ホットマネー 株式 流入 追加切上げ 副作用
量的緩和すれば物価不安加重 憂慮も
11日に開かれる初の金融通貨委 決定に注目

 金融市場が来る11日に開かれる今年初めての金融通貨委員会会議に神経を尖らせている。 昨年10月11日、年3.00%から2.75%に下げて現在まで凍結してきた基準金利を下げるのか、あるいは他の通貨拡大政策を出すことが出来るかに関心が注がれている。 特に今回の金融通貨委では新政府との政策共助方向も議論されるものと予想される。

 キム・チュンス韓銀総裁は2月末にスタートする新政府の景気浮揚措置に力を与えるという意志をすでに数回にわたり表明した。 彼は韓銀新年辞で‘名目国内総生産(GDP)目標制’を挙論した。 「最近名目GDP水準を政策目標としなければならないという意見が学界から出ていて、さらには一部の主要中央銀行ではこの政策を施行する可能性まで開けている」と語った。 たとえ学界と他国事例を紹介する内容とはいえ、意味深長な発言だ。

 名目GDP目標制は物価上昇を反映しない名目成長率の浮沈に合わせて通貨量や基準金利を調整するということだ。 物価、すなわち通貨価値の安定を最優先目標にした伝統的な韓銀の通貨政策に変化を試みる内容であり、これを採択する場合には物価安定より成長を重視するという意志と解釈できる。

 韓銀が去る年末の金融通貨委決議を経て発表した‘2013年通貨政策運営方向’からも政策基調の変化を垣間見ることができる。 当時韓銀は 「物価安定基調を確実に維持する中で国内外金融状況変化などを綿密に点検しながらわが国の経済の成長傾向回復を支援することに重点を置く」と明らかにした。 韓銀がこれまで毎月の金融通貨委決定を発表するたびに 「成長潜在力が毀損されない範囲内で消費者物価上昇率が物価安定目標内で安定するようにする」という基調を強調してきたことに比べてみる時、傍点が‘物価安定’から‘成長傾向回復支援’に移っているわけだ。

 キム・チュンス総裁は去る3日金融機関長らと会った新年の挨拶の席でも 「わが国の経済成長傾向回復を支援することに重点を置いて通貨政策を運営する」と話した。 もちろん物価安定基盤を確実に維持するという前提を付けてはいるものの景気浮揚のための韓銀の積極的な政策意志は明確に見える。 消費者物価上昇率が管理目標値である2.5%~3.5%の下端に留まっている点も韓銀が通貨緩和手段を展開する余地を広げている。

 金融市場では景気低迷の長期化を理由に金利の追加引き下げが必要だという声が少なくない。 米国、日本、ヨーロッパ連合など主要国中央銀行の競争的な通貨膨脹のために、ウォン切下げの圧迫がますます強まっていることも金利引き下げ要因だ。 その時期と関連しては韓銀が今年の経済展望修正値を発表する1月の金融通貨委会議が適切だと見る。 昨年7月と10月の基準金利引き下げが成長率の大幅下方修正と同時に成されたという理由からだ。 韓銀の一部では総額限度貸し出しのような政策金融の緩和方案が議論されてもいる。 現在9兆ウォンである総額限度貸し出しの限度増額と共に対象を拡大する方案が出てくることがありうる。

 しかし通貨政策の有効性の側面で早期の金利引き下げに否定的な意見も侮れない。 モーガン スタンレーは7日に出した報告書で「今年韓国の株式市場に外貨資金が大挙流入すると予想される状況で、追加的な金利引き下げは株式市場への資金流入を加重させ、ウォン貨(韓国ウォン)も追加切上げされるだろう」と明らかにした。 合わせて「最近外国人株式投資資金の流入は韓国がホットマネーに理想的な市場であるため」とし、基準金利を活用するよりは資本輸出入規制を強化する方向が望ましいと評価した。

 物価上昇憂慮も制約要因だ。 依然として期待インフレーション率が3%台を維持している上に、寒波にともなう農水産物需給支障、国際石油価格と穀物価格の再上昇、各種公共料金の引き上げの動きなど年初から物価不安が尋常でない状況だ。 チョン・ソンイン弘益(ホンイク)大教授(経済学)は「景気低迷や金融不安が米国やヨーロッパのように深刻でない状況で名目GDP目標制を採択することは‘物価安定を最優先にする’という韓国銀行法を改正しない限り法律違反だ」と言い切った。 彼は「韓銀が家計負債問題の悪化や輸出企業の競争力弱化にあらかじめ対応するという次元で流動性拡大に乗り出すことはありうる。 しかしこれは政府とともに根本的な構造調整作業を併行するという前提の下でのみ使える政策だ。 景気を浮揚するために無条件に金融を緩めるということは重症患者を手術せずに鎮痛剤だけを出す処方に他ならず副作用を招くことになる」と話した。

パク・スンビン先任記者 sbpark@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/568678.html 韓国語原文入力:2013/01/07 20:36
訳J.S(2174字)

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